フリーターが生きたまま焼かれた「奈良放火殺人」容疑者の正体

「屋根が浮き上がるほど火の勢いが強く、消防隊が一旦消火してもまた燃え上がりました」(近隣住民)
11月25日未明、奈良県橿原市栄和町の鉄筋2階建てアパートで起きた火災。若い男性の焼死体が発見されたが、その首には刺し傷が残されていた――。
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アパート住民が証言する。
「午前4時10分過ぎに警報が鳴り、他の部屋の男性が『火事です!』とチャイムを鳴らしたので外に出ると、煙がもうもうと充満していた。その男性が火元の部屋に行くと、鍵は開いていたが真っ暗で、呼び掛けにも応答がなかったそうです」
アパートは2階建ての3LDKタイプで、各階に6戸ずつ計12戸あり、賃料は約5万円。出火した2階204号室のベランダ側の居室で男性の遺体が発見された。大手紙記者が話す。
「遺体は当初、この部屋に住む20歳の男性会社員・竹株脩(しゅう)容疑者(20)だと見られていた。首の左側に刺創があったが致命傷ではなく、出火時は生きていました。傷の深さや凶器については炭化が酷く、照合が難しい状態です」
だが、その後のDNA鑑定で、遺体は橿原市の隣の桜井市に住むフリーター・山岡直樹さん(28)のものと判明。一方の竹株容疑者は事件後、行方知れずとなっている。
竹株容疑者所有の白の軽ワゴン車は、アパートの駐車場に残されたまま。バンパー付近には血が流れたような痕があり、運転席側のドアノブにも血のついた手で握ったような痕があった。
「トランクや車内にも山岡さんのものを含む血痕があり、血のついていない包丁も残されていた」(同前)
さらに、現場から約5キロ離れた山岡さん宅近くの細い路地で、山岡さんの血痕とメガネが発見された。
「大きな血だまりが側溝の蓋の付近にできていて、脇の家の白い壁にも血しぶきが飛んでいました」(近くの住人女性)
事件の前、竹株容疑者の車が辺りを何度も行き来するのを防犯カメラが捉えている。
家庭環境が複雑で、中学の頃から“家出癖”
「山岡さんは自宅近くで刺された後、竹株容疑者のアパートまで軽ワゴン車で運ばれたと見られる。事件前日の朝、橿原市内のATMで竹株容疑者の口座から20数万円が引き出されたことも確認された」(捜査関係者)
被害者の山岡さんは男3人兄弟の次男で、両親の離婚後、父と暮らしていた。
地元の同級生が語る。
「明るくてヤンチャで、クラスのムードメーカーのような存在でした。運動も得意で、小学校の卒業文集には〈空手の先生になりたい〉と書いていました」
高校卒業後はスーパーの店員やフィットネスクラブのインストラクターなどアルバイトを転々。昨年末までは携帯ショップで販売員をしていたという。
「特に素行の悪い雰囲気はなく、大人しくて優しい子。身長は170センチ程度で普通の体形です。この夏も友達と遊びに出かけたりしていたが、変わった様子はなかった」(同級生の母)
一方、竹株容疑者の人物像について、同級生はこう証言する。
「家庭環境が複雑で、中学の頃から“家出癖”があり、高校でも一時は親元から離れて暮らしていた。普段は大人しく、罪を犯すようには見えない。小学校ではラグビーをしていて、その後は空手に打ち込んでいた」
奈良県内の高校では薬品科学を学ぶ傍ら、空手の大会にも出場。出場記録を見ると、身長179センチ、体重73キロと大柄だ。
昨春、高校を卒業し、4月に橿原市内にある大手製薬会社に就職したが、
「最近は仕事を休みがちだったようです」(同前)
一方で現場となった自宅では以前、女性と同棲していた時期もあったという。
15日、捜査本部は出頭した竹株容疑者を傷害容疑で逮捕した。山岡さんとの関係などについて捜査を進めるほか、放火殺人についても関与した可能性があるとみて調べている。
※竹株容疑者の逮捕を受けて、誌面掲載の記事を加筆修正しました。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年12月12日号)