海外旅行のついでに“おつかい”で稼ごう 「HAKOBIYA」が日本での展開に本腰

「海外で流行している商品を買いたいけど、実際に現地に行くのは大変」「海外から商品を送ってもらいたいけど、送料が高すぎるし、確実に届くかどうか不安」――こんな不満を、海外旅行者に“おつかい”してもらうことで解決しようというサービスがある。

サービスを提供するのは、ソーシャルショッピングアプリ「HAKOBIYA(ハコビヤ)」。2019年4月にサービスをローンチしたばかりだ。12月18日、運営会社である「PickUApp」(東京都北区)の経営陣が、HAKOBIYAの現状について語った。

怪しい「ブツ」を運ぶサービスではない
まず、HAKOBIYAのサービス概要について解説しよう。基本的な流れは次のようになる。

ベトナム人のAさんが、日本でしか買えない商品をほしいと考える。Aさんは、アプリで「●を買ってきてほしい」という依頼をプラットフォームに投稿する。ベトナムに渡航しようとしている日本在住のBさんは、Aさんの投稿を見て、「私が引き受けます」と手を挙げる。この時点では“仮”に引き受けた状態だ。AさんとBさんはチャットで、「●●をいくらで買ってきてもらうか」「AさんからBさんに支払う報酬額はいくらか」といったことを交渉する。交渉がまとまれば、正式にAさんの依頼をBさんが引き受けた状態になる。
交渉成立後、Aさんは「決済POOL」にお金を振り込む。Bさんはお店に行って、自腹で商品を購入。商品を持ってベトナムに渡航し、Aさんと落ち合って商品を手渡す。Aさんは商品を直接確認する。特に問題がなければ、Bさんのスマートフォンに表示されたQRコードを読み取り、取引は完了。商品の購入代金と報酬が「決済POOL」からBさんに支払われる。

AさんとBさんがこのサービスを使うメリットは何か。

日本で10万円で販売されているスマホが、ベトナムでは13万円だったとする。AさんがBさんに1万円の報酬を支払って“おつかい”してきてもらっても、Aさんの出費は11万円になる。実際は、運営会社に4400円の手数料(商品代と旅行者の報酬の合計金額の4%)を支払うのだが、それを含めてもトータルの出費は11万4400円で済む。

日本にしかない商品を急いで買いたい場合にも役立つ。接待で使う贈答品をすぐに手に入れたい場合、“おつかい”に応じてくれる旅行者が見つかれば、スピーディーに入手することも可能だ。緊急度が高い場合は、旅行者への報酬を高く設定できる。

なお、旅行のついでにおこづかいを稼ごうというユーザーもいれば、商品の受け渡しの報酬をメインの目的にするユーザーもいる。

なぜこのサービスが生まれたのか
HAKOBIYAアプリのダウンロード数は約10万。ユーザーの96.5%が外国人で、11月の取引完了数は281(12月1日時点)。まだまだ立ち上がったばかりのサービスだ。

ユーザーのほとんどはベトナム人だが、それには理由がある。このサービスを立ち上げたPickUAppの中川賢史郎COOは、ベトナムに10年以上住んでいる。もともとは貿易業務などを手掛けていた。現在、日本の在留ベトナム人は40万人弱。技能実習生や留学生が多くを占めているが、定期的に日本とベトナムを行き来している。ここにビジネスチャンスがあると考えたのだ。そこで、まずはベトナムでサービスの認知度向上に努めた。PickUAppは今後、HAKOBIYAの日本国内における認知度を高めようとしている。

これまではどんな取引が行われてきたのか。PickUAppによると、平均依頼引き受け数は3~4件で、1件当たりの平均報酬は3000円だという。最も依頼件数が多いのが「携帯電話」(12%)で、「化粧品」(8%)、「腕時計」(7%)、「アクセサリー」(6%)と続く。

ベトナムから日本に依頼される商品は「スマホ」「圧力鍋」「腕時計」「鉄道雑誌」「ドラえもんの人形」「仮面ライダーのおもちゃ」「ガンダムプラモデル」「化粧品」などが多いという。一方、日本からベトナムに依頼される商品は「ベトナムコーヒー」「東南アジア限定のシャンプー」「フォー」「ZIPPO(戦没者記念)」「ココナッツせっけん」などが多い。

トラブル対策は?
有名ブランドのバッグを買ってきてほしいと依頼したのに、ニセモノをつかまされた――こういったトラブルが発生したらどうするのか。この点についてPickUAppは、依頼者と渡航者の間で交わされたチャットの履歴などをもとに、両者のやりとりに介入し、解決を図るとしている。また、PickUAppの中川COOは「免許証の画像をアプリにアップロードしてもらうといった対策も考えている」と今後の方針を語った。

現時点では、依頼者が渡航者に対して、事前に買った商品の画像を送ってもらったり、商品の引き渡しの際にお店のレシートを持参するように要求したりして、不正を減らすような工夫が当事者間で行われているようだ。

「HAKOBIYA」は今後、日本だけでなく世界各地にサービスを広げようとしている。ユーザーとして、留学生や研修生だけでなく、安く海外旅行を済ませたい大学生やビジネスパーソンも獲得したい考えだ。