日航機事故遺族の絵本、点字に 高校生が取り組み 大阪で22日まで展示

関西学院千里国際高等部(大阪府箕面市)の点字部に所属する生徒が、1985年8月の日航ジャンボ機墜落事故の遺族、谷口真知子さん(71)=同市=が亡き夫への思いを込めて出版した絵本「パパの柿の木」を点訳した。谷口さんは生徒の頑張りに感謝し、「目が不自由な方々にも日常のありがたさや命の重みを指先から感じ取ってもらいたい」と完成を喜んだ。
事故のあった年の秋、夫正勝さん(当時40歳)が約5年前に自宅の庭に植えた柿の木に初めて実がなった。「パパが見守っていると感じた」という谷口さんは2016年夏、懸命に生きる家族の姿を当時小学3年だった次男の視点で絵本に描き、出版した。
谷口さんが同校で命の重みについて考える授業に招かれた縁で17年秋に交流が始まり、今夏には英語の授業で絵本が英訳された。
点訳した部員は3年の前田大和(やまと)さん(17)と橋田喜乃(きの)さん(17)。今秋から作業を始めたが、顧問不在で関わった部員は2人だけ。絵本の世界観をより正確に表現するため、国内唯一の週刊点字新聞「点字毎日」を100年近く発行する毎日新聞が校閲などでサポート。絵本の文章の上に点字を打ち込んだ透明のラベルを貼り付けて完成させた。
点字本は、絵を担当した亭島和洋さん(43)の作品展が開かれている大阪市中央区大手前1のアートスペース「PLANT」で22日まで展示されている。15日に谷口さんと作品を鑑賞した前田さんと橋田さんは「家族を失っても前向きに生きようとする姿が、作品を見た人にも伝わるといい」と口をそろえた。
谷口さんは「主人も喜んでくれると思う。盲学校にも寄贈できれば」と話した。【石川将来】