鹿児島県・徳之島で犬に襲われたとみられる国の特別天然記念物アマミノクロウサギの死骸が相次いで見つかった問題で、環境省は、逃げて放し飼い状態となった犬をいち早く飼い主の元へ戻すための支援事業を始めた。具体的には、飼い主の情報が入った電子機器「マイクロチップ」100個を島内の動物病院に無償配布。飼い主は登録料など3050円で装着できる。同省の担当者は「適正飼養を進め、希少野生生物を守りたい」と話す。
マイクロチップは情報を記録した集積回路(IC)を収めた直径1~2ミリのカプセルで、無線通信で情報を読み取り、個体を識別できる。今年成立した改正動物愛護管理法はチップの装着を動物販売業者に義務付けたが、既に飼育している飼い主に対しては努力義務としていた。
世界自然遺産候補地にもなっている徳之島で確認されたクロウサギの死骸は今年5月に1匹、9月に7匹、10、11月に各1匹の計10匹に及ぶ。いずれも腹部をかまれたような大きな傷があり、環境省は犬に襲われた可能性が高いと見ている。
同省は、飼い主に犬の適正な管理を求めることが希少動物を守ることにつながるとして今月5日からチップの装着支援事業を始めた。同時に島内で犬の放し飼いをしないよう呼びかけ、死骸が見つかった周辺には監視カメラやワナを設置。地元自治体などと連携し対策を進める構えだ。
同省徳之島管理官事務所の沢登良馬国立公園管理官は「放し飼いの犬をなくすことで、希少種の被害を減らしたい」と話している。【神田和明】