大阪・十三のライブハウス「ファンダンゴ」堺で再出発 ウルフルズも拠点に

大阪・十三(じゅうそう)で32年にわたり音楽ファンに愛されてきたライブハウス「ファンダンゴ」が堺に移転した。メジャーデビュー前のウルフルズが活動拠点とするなど、十三の顔ともいえる名物店。堺でも「街を盛り上げ、新しいバンドが全国へ羽ばたく道しるべになりたい」と発信を続ける。
ファンダンゴは1987年10月に大阪市淀川区十三本町1の歓楽街の一角にオープン。大物から若手まで出演、ひと癖あるアンダーグラウンドなアーティストも多く、関西の音楽シーンに欠かせない存在だった。ペンキをぶちまけたような壁面、ステージに向かうアーティストが下りてくる階段など、独特の内装も愛された。
90年にアルバイトとして働き始め、店長を25年務めてきた加藤鶴一(つるいち)さん(52)は「人生の半分以上を過ごした十三は第二の故郷」と愛着はあったが、店のオーナーが土地を売却したため移転を決めた。十三での営業が最後になった7月には、ウルフルズをはじめ、人気バンドのイースタンユース、ハワイアン6、ブラフマン、ガーリックボーイズなどが名残を惜しむ出演リストに並んだ。
堺市堺区戎島町5丁の堺旧港近くにある、もともとは船舶関係の倉庫でパーティースペースになっていた建物を改装して10月に再開した。堺出身の加藤さんは会社を設立して経営にあたる。「十三では、周りからうるさいと苦情もあった。堺ではこれまでと違った自由なことができると思う。地元で始められたのもうれしい」。にこやかにチケットもぎりをする姿は十三時代と変わらない。

店長を引き継いだ村上隆彦さん(30)は「十三はこの店以外でも遊べる街だった。そういう場所が今は周辺に少ないので、店の中を充実したい」。消費税増税でもドリンク代はほぼ据え置き、料理を充実させて「ライブ後にも、わいわい飲んでおしゃべりしてほしい」とアピール。バンド公演時には、観客がぶつかり合うモッシュや人波の上を転がるダイブの最前列で体を張って警備につく。
「音楽にプライドを持っている人、志あるバンドに出てもらってきた。若手にもその思いを伝え、この店を全国に羽ばたく道しるべにできたら」と、堺から新しいバンドが育つことを願う。
十三の店でライブCDを収録したこともある大阪出身のバンド「少年ナイフ」は12月に堺のステージに立った。ギターのなおこさんは「海外ではライブハウスは近所の人の集う憩いの場所。音楽はもちろん、その空間が楽しい。堺でもそうなってほしい」と期待する。
ファンダンゴは南海本線堺駅から西へ徒歩約3分。問い合わせは同店(072・256・4326)。【松井士郎】