国の「待機児童解消加速化プラン」で保育施設の整備が進んだにもかかわらず、保育士不足が原因で定員まで受け入れられなかった児童数が25都道府県で1500人を超えたことが20日、会計検査院の抽出調査で分かった。検査院は「保育士確保施策の実施に当たり、国と自治体が十分な連携を図る必要がある」と指摘している。
厚生労働省は2013年度に同プランを策定。17年度末までに待機児童40万人分の受け入れ枠を確保する目標を設定し、15年に50万人に増やした。18年の結果公表では「約53・5万人の受け皿を確保し、目標を達成した」とした。
今回、検査院は25都道府県内の166市区町村を対象に抽出調査を実施。その結果、17年度末までに保育施設の定員数は計14万9137人増えていたが、18年10月時点の「空き定員数」(定員数から利用児童数を引いた数)は計2万1380人に達した。
このうち、最も多かった理由は「新設施設であるため、(0~2歳で別の施設に入っている)3歳以上が入所してこない」の1万661人で、検査院は「やむを得ない理由」としている。しかし、一方で「保育士不足が原因」が1502人▽「立地的な要因で入所申し込みが少ない」が689人――と改善の余地がある点も明らかになった。
また、国が保育士の賃金アップのために15年度に導入した「処遇改善等加算」制度についても、166市区町村を対象に実施状況を調査。その結果、16~17年度に加算を受けたにもかかわらず、翌年度に繰り越した上で賃金に充てていなかった額は計7億1950万円(延べ660施設)に達した。また、加算を受けながら賃金改善に充てたかどうかが不明な額も計7633万円(延べ20施設)に上った。
検査院は国に対し「施設が加算を確実に賃金改善に充てるよう、市区町村に指導を促す必要がある」などと指摘している。
同プランを担当する厚生労働省と、加算制度を担当する内閣府はいずれも「改善に向けて取り組んでいる」などとしている。【渡辺暢】
企業主導型保育所、助成取り消しは計約9億円
検査院はまた、企業主導型保育所の整備費助成金に関する検査結果も公表。助成制度が始まった2016年度から今年8月までに、9事業者への計8億9453万円が不正受給などで取り消されていたと明らかにした。
企業が従業員向けに事業所内に設ける企業主導型保育所は待機児童の有力な受け入れ先として期待され、国が公益財団法人「児童育成協会」を通じて助成金を支給している。18年度までの計上総額は計3800億円。
検査院によると、保育所を利用する児童数や職員数の水増しなどで不正受給したり、助成を受けながら施設を運営していなかったりしたなどとして、9事業者の13施設が助成を取り消されていた。
13施設には、保育所工事請負契約を結んだとする偽の契約書を同協会に提出し、助成金をだまし取ったとして東京地検特捜部が7~8月にコンサルティング会社社長を起訴した事件に絡む5施設が含まれる。【渡辺暢】