福島第1汚染処理水「海洋放出」「大気放出」「海洋・大気の併用」 政府が3案

政府は23日、東京電力福島第1原発でタンクにためられている汚染処理水について、これまで示されていた6案から「海洋放出」「蒸発させ大気放出」「海洋、大気放出の併用」の3案に絞ることを有識者小委員会に提案した。3案以外は、法律の規制や技術の面などで課題が多いという。処分の開始時期については踏み込まず「政府が責任をもって決定する」とした。
タンクの汚染処理水は11月の時点で約117万キロリットル。技術的に取り除くのが難しい放射性トリチウムなどが含まれ、1日当たり約170キロリットル(昨年度)ずつ増えている。東電は、敷地内の空き地に計137万キロリットル分までならタンクを整備できるとしているが、2022年夏ごろに満水になる。
政府の有識者小委では、これまで①放射性物質の濃度を基準値以下に薄めて海に流す②蒸発させ大気に放つ③セメントなどで固めて地下に埋める④パイプラインで地下に注入⑤電気分解して処理後に大気に放出⑥貯蔵タンクで長期保管――の6案が示されていた。
政府は23日に開いた有識者小委に、海洋放出などの3案を提案。その理由として、国内外の原発で実績があることや、環境への放射性物質の広がりを確認しやすいことなどを挙げた。長期保管は、11年から30~40年としている廃炉までの期間に汚染処理水を処分できないため、政府の提案から漏れた。
政府の提案について、ジャーナリストの崎田裕子委員は、前例のある処分方法(海洋または大気放出)が安心感につながるとした。東京大総合防災情報研究センター准教授の関谷直也委員は「海洋放出した場合、社会的な影響が大きいことを提言に盛り込むべきだ」と話し、今後も議論を続けていくことを確認した。
毎日新聞が委員に実施したアンケートでは、複数の委員が「6案から処分方法を決めて提言はしない」という認識を示していたが、3案に絞られたことに異論は出なかった。政府は、この3案を軸に小委に提言をとりまとめてもらう方針。政府は小委がまとめた提言を踏まえ、自治体など地元の関係者に意見を聞いて、最終的な処分方法を決める。【岩間理紀、斎藤有香】