三重県南伊勢町贄浦(にえうら)の海産物店「やまきち」が町特産の養殖クロマグロの卵巣を使った「マグロのからすみ」を開発した。クロマグロならではの濃厚なコクとうまみ、ほどよい塩味が自慢の味で、南伊勢町の新たな名物にと期待が高まっている。
熊野灘に面する同町は、タイの養殖技術を生かしたクロマグロの養殖が盛ん。伊勢志摩サミットのメニューにも使われた「伊勢まぐろ」をはじめ、「なだまぐろ」「みえまぐろ」として全国に流通している一方で、内臓は利用法がなくそのまま捨てられていた。
その内臓に目を付けたのが、やまきち。一本釣りのボラの卵巣を使った高級珍味「からすみ」が有名で、京都の高級料亭でも珍重されるが、近年はボラの水揚げが不安定で、品質の良い卵巣を確保するのが難しくなっていた。このため、3年前から同町商工会の補助金を受け、クロマグロのからすみ作りに取り組んできた。
やまきちの中村浩幸さん(32)は、マグロの町として有名な神奈川県三浦市三崎に出向いて、マグロの扱い方を習得。ボラのカラスミ作りの技術を生かしながら「血抜きの方法や塩漬けや塩出し、干す期間など、試行錯誤を繰り返した」という。苦労の末、「ボラのからすみよりも香ばしく、酒のつまみにも、パスタにも、ごはんにもよく合う」というマグロのからすみが完成。2019年10月から販売を始めた。中村さんは「伝統の技術を生かした他ではできない商品。ぜひ南伊勢に足を運んでほしい」と話している。
マグロのからすみは、スライス(5、6枚入り、約20グラム)1000円で、同店のみで販売している(ホームページや電話での注文、発送可)。問い合わせは同店(0596・72・0177)へ。【小沢由紀】