保釈中に中東レバノンへ逃亡した日産自動車の前会長で、仏自動車大手ルノーの最高経営責任者(CEO)も務めたカルロス・ゴーン被告(65)=会社法違反(特別背任)などで起訴=が8日午後(日本時間同日夜~9日未明)、ベイルートで記者会見した。自身の逮捕について、西川広人前社長ら旧日産幹部の実名を挙げながら、検察当局と協力した「組織的な(追放)キャンペーンの犠牲となった」と述べ、日産が提携関係にある仏ルノーの影響力を排除するために行った陰謀だったと主張した。
日本の司法制度についても「弁護士の立ち会いも無く1日8時間取り調べを受けた。国連の基準にも反する」と厳しく批判した。
ゴーン前会長は会見で、日産とルノーの統合に意欲を示していたフランス政府がルノー株を持っていることが「問題の発端だ」と指摘。2018年6月にCEO職を退く意向だったと明かしたうえで、「(日産との)アライアンスを強化する最適の人物として再任され、不幸にもそれを受けた」と述べた。
その上で「各社の独立性を尊重しながら、統合を進める計画だったが(西川氏ら複数の日産幹部は)ルノーの影響力を取り除くために私を排除した」と主張した。
前会長が19年12月に日本から逃亡後、公に姿を見せるのは初めて。約2時間半の会見中、前会長は時折両手を広げるなどし、英語などで「逮捕以来自由を奪われ、家族や友人から引き離された。検事には『自白しなければより悪いことになる。家族も追及されることになる』と言われたが、無実を証明しようと必死に努力してきた」と訴えた。
前会長は10~17年度、有価証券報告書に自身の役員報酬計約90億円を記載しなかったとして金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で起訴された。
また、私的な投資契約の損失を日産に付け替えた▽サウジアラビアとオマーンの知人にそれぞれ日産の資金を送金して会社に損害を与えた――とする会社法違反(特別背任)にも問われている。【久野華代、横山三加子(ベイルート)、巽賢司】