山梨、埼玉県などは13日、食肉加工施設「山梨食肉流通センター」(山梨県笛吹市)に埼玉県秩父市の養豚場から11日に搬入された4頭の豚が豚(とん)コレラに感染していたと発表した。この養豚場の豚の検査でも陽性と判定され、国は「疑似患畜」として詳しく調べている。豚コレラは昨年9月以降、岐阜、福井県などで確認されているが、関東地方では初。国の封じ込め対策が失敗した形となった。埼玉県は13日夜からこの養豚場の豚678頭の殺処分を始めた。
山梨県などによると、センターに11日に県内外から搬入された豚約170頭のうち1頭が12日朝に死んでいた。食肉加工の過程でさらに3頭の内臓などに異常が見つかった。県が4頭の検査をしたところ、感染の疑いが強まり、13日に国の遺伝子解析で感染が確認された。この4頭の出荷元は秩父市の養豚場だった。
埼玉県によると、この養豚場は繁殖豚と肥育豚計678頭を飼育している。抜き取り検査で30頭から採血し、19頭から陽性反応が出た。
山梨県の長崎幸太郎知事は13日夜に開いた県対策本部会議で「万全を期すべく迅速かつ強力な対策を実施し、正しい情報を県民に発信し、風評被害防止に努めたい」と述べた。埼玉県も13日夜、緊急対策本部会議を開き、大野元裕知事は「全庁を挙げて対応する」と話した。
山梨県韮崎市で約1000頭の豚を飼育する養豚業者の男性は毎日新聞の取材に「非常に不安だ。感染が拡大しないでほしい」と心配そうに話した。【野呂賢治、山越峰一郎】