5歳児の唾液を紙コップで…イグ・ノーベル賞に渡部・明海大教授ら

【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)=船越翔】人々を笑わせ、考えさせる研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が12日、米ハーバード大で行われた。
5歳児の唾液の量が1日約500ミリ・リットルであることを明らかにした渡部茂・明海大教授(68)らのチーム5人が化学賞を受賞した。
複雑な機器は使わず、子供が紙コップの中に吐いた唾液を量るという地道な取り組みが評価された。日本の研究者の受賞は2007年から13年連続になる。
渡部さんたちは5歳の子供30人に協力を求め、食べ物をかんでいる時と何もしていない時でそれぞれ5分間、紙コップに唾液を吐いてもらい、その量を調べた。それぞれの唾液の量と、子供が1日に費やす食事の時間とそれ以外の時間などを基に、1日の唾液の量は約500ミリ・リットルと割り出し、論文にまとめた。
12日の授賞式には渡部さんと、長男の潤さん(41)ら3人の息子がそろって登壇。渡部さんが「どうやって唾液の量を測定したか、お見せしましょう」と語ると、潤さんたちが一斉に唾液を紙コップに吐き、会場は笑いに包まれた。潤さんらは子供の頃、この実験にたびたび参加していたという。
渡部さんによると、論文を発表した1995年頃、虫歯予防に重要な役割を果たす唾液の研究は少なく、論文は今も世界中の研究者が引用しているという。