小説売れず「親孝行充分出来ない」 石川啄木直筆の手紙 妹の孫が岩手の記念館に寄贈

石川啄木記念館(盛岡市渋民)が、啄木直筆の手紙や写真など資料15点を、啄木の妹・光子さんの孫である三浦哲朗さん(62)=神戸市在住=から譲り受けることになり、18日に寄贈式が開かれた。盛岡市から三浦さんに感謝状が贈られた。
寄贈された資料には、啄木が光子さんに宛てた手紙やはがき3通が含まれる。22歳の啄木が、小説が売れず、自暴自棄になって送った直筆の手紙では「兄さんはあんまりえらい為に、金持にもなれぬし、親孝行も充分出来ない。お前だけ(で)も専心親孝行してくれ。この兄が頼むから、毎日毎日少しづつでも余計におつ(っ)母さんを慰めてくれ」と記している。
啄木が亡くなる直前、友人に代筆してもらった「啄木のラストレター」と呼ばれる手紙では「俺も母の死ぬよほど前から毎日三十九度以上の熱が出るが床に就いて居たため同じ家に居ながらろくろく慰めてやる事も出来なかつた」と、母カツの最期や自身の病状を伝えている。このほか寄贈資料には、啄木の妻から光子さんへの手紙なども含まれる。
三浦さんは父が亡くなった約6年前から「私が持っているよりも、管理がしっかりした公の施設に寄贈したほうがいい」と考えていたといい、「本を読まなくなった若い人たちにも見てほしい」と語った。同館の森義真館長は「直筆の資料を見ることで、啄木の息吹に触れて」と来館を呼び掛けている。資料の多くは2021年2月ごろから展示される予定。【山田豊】