講談社は3日、作家・高嶋哲夫さん(70)が2010年に発表した小説の文庫版「首都感染」を1万部増刷した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一部から「予言の書」とも評されている同書には書店からの注文が相次いでおり、異例の対応が取られる形となった。
中国でのサッカーW杯開催中に同国内で高致死率の新型インフルエンザ・ウイルスが現れ、首相が感染拡大阻止のために東京封鎖を決断するフィクション。講談社によると、13年に文庫化され、9刷で累計約3万5000部を記録するロングセラーとなっていたが、新型コロナが世界的に拡大すると「中国」「新型」「首相」など現実との多くの共通ワードが含まれることもあって「予言の書」として一気に注目を集めた。
SNSなどでも話題になったため、同社は2000部の重版を2度行ったが、今週になってさらに問い合わせや注文が殺到したため、一気に1万部の増刷に踏み切った。単行本発表から10年が経過してからの重版1万部は極めて異例という。
販売担当者は「このような状況の中で増刷することに複雑な思いもあります」と前置きした上で「『首都感染』は、ウイルスがどのように感染していくかを知ることのできる作品です。多くのデマ情報も飛び交う中、一つの心の準備として、ぜひ手に取っていただけたらと思います」と話している。