戦後最悪の自然災害となった東日本大震災の発生から11日で9年を迎えた。岩手、宮城、福島3県では発生時刻の午後2時46分に被災者が黙とうを行ったが、新型コロナウイルスの影響で政府主催の追悼式など式典は中止が相次いだ。異例の節目となってしまった一方で、明るい話題も。14日のJR常磐線全線再開で鉄道は全て復旧する。再開業する双葉駅で双葉町・伊澤史朗町長(61)が未来への希望を語った。
拡大し続ける新型コロナウイルスの猛威は、被災者が犠牲者を悼む節目の一日にも及んだ。震災10年を迎える21年を最後に打ち切る方針になっている政府主催の追悼式は中止に。式典対応は自治体間で分かれ、被災3県の32市町村のうち14市町は規模を縮小して行い、16市町村が献花のみ。2市町は実施を見合わせた。
首相官邸で開かれた献花式には安倍晋三首相ら21人が出席し、黙とう。出席者は関係閣僚や官邸スタッフに限定され、会場のいすは感染防止のため、約50センチ離された。本来、追悼式は東京都千代田区の国立劇場を会場とし、秋篠宮ご夫妻や、岩手、宮城、福島3県の被災者ら約1000人の出席を想定していただけに献花式は物寂しさが際立った。首相は追悼式中止について「実施する方向でギリギリまで模索してきたが、感染拡大防止のためにあらゆる手を尽くすべき時期」と説明した。
追悼式で遺族代表あいさつを予定していた福島県南相馬市の斎藤誠さん(49)は津波で失った次男・翔太君(当時5)について語る姿を、共に登壇する三男・優太君(7)に見せたいと願っていた。機会は失われたが「将来は命を守る大切さを語り継いでほしい」と思いを語った。
岩手県釜石市の県・市合同追悼式では参列者にマスク着用を呼び掛け、会場入り口で検温を実施。37・5度以上の発熱者には入場を制限する態勢を取った。大槌町は延期を判断せざるを得なかった。
宮城県で唯一、式典を開催した東松島市では約350人の参列者全員がマスク姿で臨んだ。石巻市は自由献花のみに形式を変更し、消毒用噴霧器を設置した。福島県の式典は例年400人規模だったが、今年は内堀雅雄知事ら計6人のみ。内堀知事は「苦渋の判断」と語るしかなかった。
◆東日本大震災 11年3月11日に発生し、マグニチュード9.0、最大震度7を観測。各地で津波が発生し、東京電力福島第1原発では事故が起きた。死者1万5899人、行方不明者2529人に震災関連死3739人を合わせた2万2167人が犠牲に。避難者は依然4万7737人。生活再建は道半ばで、今年度末を予定していた復興庁の設置期限は30年度末まで延長された。