14日に常磐線全線開通、新しい駅舎が住民の希望に…3・11から9年

9年間、静まりかえっていた線路に、列車が戻って来る。14日のJRのダイヤ改正に併せ、唯一残されていた常磐線の浪江~富岡間、約20・8キロの運行が再開。震災で不通となっていた路線はこれで全てが開通し、同区間内の双葉、大野、夜ノ森駅が再開業する。
真新しくなった双葉駅に伊澤史朗町長は「ここが町の復興の中心、シンボルとなることは間違いない。新しい駅舎が、住民に希望を与える力になってほしいですね」と言葉に力を込める。これまでは一時帰宅をするにも車でしか訪れることができず、故郷から足が遠のいていた高齢者もいたが、鉄道の運行再開により帰宅が実現可能になる人が増えることが、何よりも大きいという。
14日以降は、同駅には上下各3本の特急が停車する。住民以外の乗降客にも期待がかかるが、伊澤さんは「そんな簡単なものではない。すぐには難しいと思います」と楽観視はしていない。それでも鉄道が走ることで、町内に“日常”が少しでも戻ってきた効果に期待を抱いている。
「電車の窓からでもいいので、町を見てもらいたい。そうして関心を持たれれば、それは復興につながると思うんです」。特に、伊澤さんが自信を持っているのが、駅西側の区画だ。現在はまだ、主を失ったことで朽ちた建物も見られるが、今後は町は土地を買い上げ、「新市街地」として整備をしていくという。
「町民の皆さんからしてみれば、『9年もかかった』かもしれない。でも、2017年に福島復興再生特別措置法が改正され、復興に着手できるようになってからだと3年。考えようによっては、すごいスピードでもあります」。町民から「いつ町に戻れるのか?」と聞かれることが最もつらかったという伊澤さん。その「答え」につながる鉄道再開まで、あと2日だ。
(高柳 哲人)
◆JR常磐線 東京都から宮城県までの太平洋沿岸を走る路線で、日暮里(東京都荒川区)―岩沼(宮城県岩沼市)の約344キロ。1898年開業。品川・上野―仙台間をつなぐ特急も走る。福島、宮城両県では、東日本大震災の津波で駅舎や線路が流失し、東京電力福島第1原発事故で沿線が帰還困難区域に指定されるなどして不通が続いていた。最後の不通区間の富岡―浪江間では代行バスで乗客を運んでいる。3月14日のダイヤ改正でこれまで臨時駅の扱いだったJヴィレッジ駅(福島県楢葉町)が常設駅となる。