防衛省陸上幕僚監部などは3月30日夜、陸上自衛隊秋田駐屯地(秋田市)に勤務する20代の男性隊員が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内で感染者が確認されたのは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(DP号)に乗船していた同市の60代男性を含めて5人目。陸上幕僚監部によると、自衛官の感染例は同13日にフランス出張から帰国した海上自衛隊幹部の40代男性が感染して以来、2人目。陸上自衛隊で初の感染確認だという。【高野裕士】
陸上幕僚監部によると、男性隊員は1月上旬から3月24日まで陸自多賀城駐屯地(宮城県多賀城市)に、自衛隊車両の運転教習を受けるため滞在。その間は同駐屯地で宿泊し、同25日に秋田駐屯地の車両で秋田市に戻った。同27日に嗅覚と味覚の異常を感じ、同30日に秋田市の帰国者・接触者外来を受診。秋田市保健所でPCR検査(遺伝子検査)を行ったところ、陽性が確認された。発熱やせきなどの症状はないという。男性隊員は同31日午前、秋田市内の医療機関に入院した。
多賀城駐屯地での教習期間中は外出許可日が設けられており、買い物や飲食など私的な目的での外出が可能だった。また、秋田市に戻った後、28日には県内の実家を訪れていたという。
秋田市などによると、男性隊員の濃厚接触者は26人。20人が秋田駐屯地の同僚で6人が男性隊員の家族らという。
陸上幕僚監部によると、この男性隊員は新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的としたDP号などへの災害派遣には従事していない。
陸上自衛隊秋田駐屯地の20代男性隊員が新型コロナウイルスに感染していることが判明した3月30日夜、秋田市の防災安全対策課は、「自衛隊からの要請」を根拠に報道機関への広報対応を防衛省陸上幕僚監部(東京)に丸投げした。ただ、陸上幕僚監部は「秋田市に報道対応をしないように要請したことはない」としており、同市の対応の是非が議論になりそうだ。
秋田市、広報対応せず
秋田市は30日午後9時前に同市の自衛隊員の感染を知らせる文書を報道各社にファクス送信したが、詳細な説明は拒み「『自衛官の感染は防衛省が一括して報道対応を行う』という文書が県に届いている」などとして、広報対応しなかった。
ただ、一方で県は3月30日午後9時15分ごろ、自衛隊員の行動歴や濃厚接触者に関する情報が記された秋田市保健所の広報資料を県の公式HP上に掲載した。
県内では現在、新型コロナウイルスの感染を判定するPCR検査(遺伝子検査)は、県健康環境センターと秋田市保健所の2カ所で行われている。原則的に県健康環境センターで陽性確認された案件は県が、秋田市保健所で陽性確認された案件は秋田市がそれぞれ報道機関向けに記者会見を開くなどしてきた。
今回の対応について秋田市の近藤行秀・危機管理監は「陸上自衛隊から県に送られ市に回ってきた、広報対応に関して記した文書から判断した結果で、対応に問題はなかったと考えている」としている。【高野裕士】