緊急事態宣言下の首長選 使い捨て鉛筆9万本、消毒液、換気…選管ピリピリ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府が7都府県に緊急事態宣言を出してから初めてとなる首長選投開票日を12日に控える大阪府茨木市が感染防止対策に追われている。多くの有権者が一度に屋内に集まるため感染リスクが高まる投票所では投票記載台の間隔を広げ、使い捨て鉛筆を大量に用意する。開票作業も密集を避けるため担当職員の数を削減、終了時間が大幅に遅れる見込み。市選挙管理委員会では「前例がないだけに手探りだ」と神経をとがらせている。
「投票日当日は混雑しそうなので正直怖い。介護している義父母を感染させたくないので」。茨木市役所に設けられた期日前投票所を訪れた市内の主婦(60)はこう話す。
市選管によると、12日の投開票日は、小中学校や自治会館など市内62カ所に投票所が設置される。前回市長選では約7万人の有権者が投票に訪れた。投票所はいずれも屋内施設に設置されており、時間帯によっては混雑が予想され、感染する恐れのある密閉、密集、密接の「3密」の要件を満たす空間になりかねない。対策として市選管は各投票所の入り口と出口に手指消毒用のアルコール消毒液を配置する。選管職員らによる会場内の換気やアルコール殺菌も定期的に実施するよう通達した。
投票に訪れた有権者同士が1~2メートルの距離を取れるよう、候補者名を書く各投票記載台の間隔をスペースが許す限り広げるほか、2人一組となっている記載台の一方の使用をやめる。入場規制は行わないが、混雑して列ができるような際には「一定の距離をあけるよう呼び掛ける」(市選管担当者)としている。従来、共用していた筆記用具は、有権者自身の持参を認めるほか、約9万本の使い捨て鉛筆を準備し、希望者に配布する。
一方、午後9時10分から市民体育館で行われる開票作業には、日中、投票にかかわる作業を行った職員を携わらせない。開票所での密集を避けるため、担当職員を従来の404人から285人に減らし、開票終了予想時刻は、前回選挙より約2時間遅い翌日午前1時までずれ込む見通しだ。市選管の担当者は、「選挙が行われるのは決まっており、安全を最優先に、できる限りの対策を行いたい」としている。
有権者からは「緊急事態宣言が出ているのに選挙するなんて」「投票で感染したら責任をとってくれるのか」などと緊急事態宣言下での選挙の実施に批判の声が多く寄せられている。大阪府内では今月、茨木市長選のほか、大東市長選(19日投開票)などが予定されており、両市の市長が1日、「感染拡大のリスクが投票所、開票所とも高く、完全な防御が困難」として、「執行は適切ではないのではないか」とする意見書を総務省と府に提出。これに対し、総務省は「予防したうえで積極的な投票参加をお願いしたい」と予定通り実施するよう回答していた。安倍晋三首相も「選挙は不要不急の外出にあたらない」と延期に否定的な見解を示していた。