長崎県は22日、長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼(こうやぎ)工場に停泊中の大型クルーズ船「コスタ・アトランチカ」(イタリア船籍、8万6000トン)で、乗員34人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。このうち外国籍の40代男性が同日、重症化の恐れがあるとして市内の病院に搬送された。県は船内でクラスター(感染者集団)が発生したとして、感染経路などを調べている。
県によると、19日にクルーズ船を運航する会社から「乗員1人が発熱した」と保健所に相談があり、20日に外国籍の乗員1人の陽性を確認。57人に濃厚接触の可能性があるとしてPCR検査を実施していた。中村法道知事は22日、自衛隊に災害派遣要請した。
軽症の感染者や濃厚接触者は、ウイルスが外に漏れない「陰圧」状態にした部屋で過ごしている。県は残る乗員全員に検査を実施し、陰性の乗員は早期に帰国、軽症の感染者は船内で待機してもらう方針だ。
コスタ・アトランチカは修繕のため1月下旬から停泊している。乗客はおらず乗員623人のうち通訳1人以外は外国籍だった。全国での新型コロナの感染拡大を受け、県は3月6日、三菱側に乗員が下船しないよう要請していた。
だが、修繕を受注した三菱重工の子会社、三菱造船によると、要請後もタクシーで病院や空港に行った乗員がいた他、約130人が検温などをした上で船の維持・管理のため船外に出ていた。記者会見した同社は「健康チェックをしていたので問題ないと思っていた」と釈明。中村知事は「下船した事実があったことは大変残念だ」と述べた。
今回のクラスター発生を受け、県内の感染者は18人から51人へ急増した。県内で感染者を受け入れる医療機関の病床数は102床で、担当者は「状況によっては病床が逼迫(ひっぱく)する恐れがある」と危機感をあらわにした。
クルーズ船を巡っては、横浜港に2月に帰港した「ダイヤモンド・プリンセス」で乗員・乗客約3700人のうち712人の集団感染が起きた。【田中韻、松村真友】