緊急事態宣言の延長方針を受け、外出自粛の出口が見えない中、都内では将来を悲観した飲食店主の自殺も伝えられた。こうした中、京大の研究グループが、新型コロナウイルスの影響で自殺者が史上最悪の数字になるとの試算を発表した。
4月30日夜、東京都練馬区のとんかつ店から出火、50代男性店主が全身やけどの状態で見つかり死亡が確認された。毎日新聞は2日、店は臨時休止中で店主は周囲に「店をやめたい」と語っていたネット記事で報道。遺体には油をかぶったような形跡があったとも伝えている。
コロナショックの中、こうした事態は例外ではなくなるかもしれない。将来的に心配な数字も出てきている。
京都大大学院の藤井聡教授の研究グループは4月30日、新型コロナによる経済活動の停滞で、実質GDP(国内総生産)や失業者数、自殺者数の相関関係を推計したリポートを発表した。
2年後に収束する「悲観」シナリオの場合、実質GDP(国内総生産)は2020年度に14・2%下落、失業率はピーク時に6・0%~8・4%に到達し、ピーク時の年間自殺者数が3万9870人に達すると予測。1年後に収束する「楽観」シナリオでも、年間自殺者数は3万4449人に達するという。
警察庁や厚労省の統計によると、これまでの年間最多自殺者数は2003年の3万4427人。いずれのケースでも最悪は免れないということになる。ウイルスが残す爪痕は想像を絶する。