外房線、200メートル手前から脱線か…「メキメキと音鳴り倒れかかってきそうな勢い」

千葉県鴨川市東町で発生したJR外房線の脱線事故で、現場の約200メートル手前から脱線が始まったとみられることが9日、国の運輸安全委員会の調査で分かった。車両の移動や枕木の交換などの復旧作業は9日午後に完了し、全線で運行が再開された。
事故は8日午後3時55分頃、安房鴨川―安房天津駅間で起きた。千葉行き普通電車(6両編成)の先頭車両の前方左側2輪がはみ出した。運輸安全委員会は鉄道事故調査官2人を現地へ派遣。2日間にわたって車両やレールの状況を調べ、JR関係者への聞き取りなどを行った。
足立雅和調査官は9日夕、読売新聞の取材に応じ、「現場の200メートルほど手前の踏切付近に、脱線が始まった痕跡がレールにあった。脱線の原因は分からない」と説明。現時点で車体やレールに目立った異常は確認できていないといい、「集めた資料を持ち帰って分析したい」と述べた。
JR東日本千葉支社によると、現場の線路の点検が最後に行われたのは4月19日。整備士による車両の点検は5月6日で、それぞれ異常は見つからなかった。また、事故が起きた区間では4月21日、走行中に2度にわたって異常な音が出たが、線路や車両に異常などは確認されなかったという。
今回の脱線事故では、2日間で特急を含む上下線計51本が運休し、約600人に影響が出た。自宅が現場近くで、散歩中に事故を目撃した会社員の女性(56)は「メキメキと音が鳴ってから、すれるような音がした。倒れかかってきそうな勢いだった」と振り返った。