政権・与党にとって、もはや頭痛の種でしかない。4月1日の安倍首相の全戸配布表明から2カ月。ようやく全国に「アベノマスク」が届き始めた。不良品の検品に追われ、先月22日時点で東北6県など34県に1枚も届いていない状況だったが、翌週から急ピッチで配布。厚労省マスク対策班の推計によると、3日には全体の約59%を配り終える見込みだ。
それでも、おおむね配布が完了したのは東京都のみ。このペースだと、全戸配布の実現にはあと2週間はかかり、ちょうど17日の国会閉会時期と重なる。自民党関係者は複雑そうな表情を浮かべて語る。
「マスク不足が解消に向かう中、今さら布マスク2枚が届いても、有権者はどう思うか。『こんなモノに466億円もの国家予算をつぎ込んだのか』と、改めて怒りに火を注ぐようなものです」
ここにきて「質より量」を重視し、「隠れた不具合」が見つかっても、調達企業の責任を追及しないなどズサンな計画も発覚。官邸官僚の「全国民に配れば、不安はパッと消えます」との“妄言”を受け売りした安倍首相のバカらしさが詰まったマスクである。
いよいよ全国津々浦々に届けば、多くの人々がムダ遣いを実感し、SNSで再び政権批判の“マスクの乱”が拡散しかねない。おまけに河井前法相夫妻の立件まで重なれば、もう目も当てられない。
とにかく国会をサッサと閉じたがる安倍首相には、大誤算。アベノマスクがじわじわと自分の首を絞めることになる。