カラオケはマスク着用のまま、会話はアクリル板越しで――。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の全面解除に伴い、経済活動の再開が広がる中、県内の各店舗でも「新しい生活様式」の導入が広がってきた。感染対策と両立させながらの営業に各店主とも試行錯誤を続けている。
■スナック
4日夜、常連客でにぎわう甲府市千塚の「すなっく心」。韮崎市から通う会社員(63)が「久々だからね」と、マイクを握って立ち上がると、マスク姿のまま壁に向かって曲を歌い始めた。歌い終わると、オーナー(53)がマイクを受け取って、すぐにアルコール消毒。「徹底してるねえ」と常連客がはやしたてると、店内は笑い声に包まれた。
同店は、県の休業要請が出る以前の4月10日から休業していたが、県に感染防止策を提出し、5月30日にスナックとして県内で初めて営業再開が認められた。防止策では「歌唱は専用ステージのみで、全員がマスクを着用」「マイクは利用者ごとに用意し、消毒」などといった内容を盛り込み、お酌も禁止した。
再開にあたっては、ママ(49)は「スナックは生活には必須とは言えない」と迷いもあったというが、「楽しみに来てくれる常連さんのためにも、安心して過ごせる環境を作っていきたい」と話す。
■喫茶店
スナックだけでなく、多くの飲食店でも店内の状況はコロナ以前と変わった。甲府市上石田の喫茶店「古麻樹」の店主(66)は「常連には地元のお年寄りが多く、店では絶対に感染させないという思いで入念に対策をした」と語る。
同店では4月から5月末までの休業中に内装を一新。店内のカウンターやテーブルには、
飛沫
( ひまつ ) 防止用に顔の位置よりも高い透明なアクリル板を設置。1席ずつをアクリル板で区切った。多くの客が触れるものをなくすため、店内の漫画も多くを処分し、つまようじも袋に入ったものに替えた。
アクリル板越しに店主と会話していた近くの主婦(77)は「再開が待ち遠しかったが、ここまで対策をしてくれていれば安心できます」と昼食を楽しんでいた。
■理髪店
理髪店など、近い距離での接客が避けられない業種も対策を練っている。昭和町河東中島の「理容プラージュ甲府昭和店」では、従業員がフェースシールドまたはゴーグルを着けて客を散髪。以前より手元は見えにくくなったが、店を運営する主任(59)は「いつもより細かい髪の毛一本一本に集中しながら散髪している」と話す。
緊急事態宣言解除を受け、顔に直接触れるため、控えてきた顔そりを5月末から再開したが、客との世間話はまだ必要最小限にとどめている。主任は「これからは感染対策はもちろん、客の声にも耳を傾けながら、やりやすい方法を探っていきたい」と話していた。