ドローン駆使、花火大会もオンラインが花火師と観客つなぐ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で花火大会の中止が相次ぐ中、徳島市の団体が「オンライン花火大会」という新しいスタイルの花火大会を提案している。密集、密接を避けるため、観客を入れずに実施する方法で、6月上旬には感染の収束を願い、全国の花火師から集めた花火を香川県内で打ち上げた。撮影した映像をユーチューブで公開する。
花火業者15社が参加
昨年秋に徳島県内で開催された「にし阿波の花火」の実行委員会のメンバーが中心になり結成した一般社団法人「SMASH ACTION」(徳島市)が、隅田川花火大会、なにわ淀川花火大会といった有名な花火大会の中止が発表される中、新しい見せ方を探ろうと企画した。
同法人の藤川修誌理事長は「花火の可能性を広げていくことが、花火の文化を守ることにつながる」と力を込める。それだけではなく「見る人に勇気と希望を、医療現場で働く人に感謝とエールを届けたい」といった思いも込めた。
「花火のチカラ~世界にとどけ!希望の光~」と題した6月上旬の花火大会には、花火業者15社が参加。各社が製造した5号玉7発ずつを1社30秒以内の持ち時間に打ち上げる形式で行った。
密集、密接を避けるため、打ち上げの日程は公表せず、無観客で実施。各社の花火を1社が代わりに打ち上げた。約2500発を使った迫力ある「スターマイン」も披露。カメラとドローンを用い、地上と空からの映像を撮影した。
花火に込めたメッセージ
会場の国営讃岐まんのう公園(香川県まんのう町)で全国から寄せられた花火を打ち上げる大役を担ったのは岸火工品製造所(徳島県阿南市)。岸洋介専務(33)は「正確にしっかり打ち上げる責任の重さを感じた」と振り返る。当日は従業員とともに作業し、各社から提供された5号玉を筒に入れ、点火装置を使って順番に打ち上げ。夜空に大輪の花を咲かせた。
花火業界では例年、この時期は夏に向けた製造のピーク。今年は、休業を余儀なくされた花火業者も多い。そんな状況下でも、各社から届いた5号玉には「希望の光 明るい未来がきっと待ってます」「人に寄りそい笑顔を届けてくれる花々 すべての人に届けます」などと花火業者のメッセージが書かれていた。
今回の取り組みは、「花火を上げたい花火師と、花火を見たい観客をオンラインでつなぐことができる」と話す岸さん。新型コロナとの共存が求められる中、外出が難しい人にも見てもらうことができ、「現状にふさわしい花火の形を探る新たな一歩になった」とした。
「花火技術より楽しめる」
参加した花火業者は、音や色の変化、会場の雰囲気といった花火の臨場感を大切にしたいという思いを抱きながらも、新たな挑戦に可能性を感じている。
丸玉屋小勝煙火店(東京都府中市)の小勝康平さん(38)は「感染症の影響とはいえ、花火を生で見られない世の中は悲しい」と胸の内を語る。
趣旨に賛同し、参加した花火大会。工夫を凝らした花火は無事に打ち上げが終わったと連絡を受けたが、実際に見ていないため、小勝さんは「出来栄えが気になる」。映像を通して「思い思いのスタイルで花火を楽しんで」と呼びかけた。
この夏に向けて製造した新作を提供したマルゴー(山梨県市川三郷町)の斉木啓介専務(37)も「花火は生で見てもらうのが一番」としながらも、「花火だけに焦点が当たるため、それぞれの技術をより深く楽しめる」と映像の利点を挙げる。
同社の花火は色のグラデーションが見どころといい「見た人を笑顔にできれば」と期待を寄せた。

SMASH ACTIONでは「花火のチカラ~世界にとどけ!希望の光~」の映像を6月28日午後8時にユーチューブで公開。視聴者の投票を2週間受け付け、優勝者を決める。