避難所は「3密」(密閉、密集、密接)になりやすいとされ、熊本や鹿児島の各自治体では、新型コロナウイルスの感染予防を念頭に避難所開設に努めた。一方で、避難所に通じる道路が寸断してマスクや消毒液が届けられないなど、一部で対策が間に合わないケースもあった。
「コロナ対策のため、広間では一人一人の間隔をできるだけ保ってください」
熊本県芦北町湯浦(ゆのうら)の避難所、福祉施設「きずなの里」では、町職員が避難してきた住民にこう呼びかけた。
住民らは、施設入り口で手などを消毒。脇に挟まなくてもいい非接触型の体温計での検温や、問診票の記入も徹底された。避難スペースでも職員の呼びかけに従い、家族同士であっても距離を保つ様子がみられた。
町によると、4日夕方までに町内には9カ所の避難所が開設された。感染防止策を講じた一方で、一部の避難所に通じる道路が寸断され、コロナ対策のため役場に備蓄していたマスクや消毒液の配布が開設に間に合わなかったケースもあったという。町の担当者は「今後、避難者が増えることも考えられる。それまでにはなんとかしなければ」と話した。
同県八代市の避難所「千丁コミュニティーセンター」でも、消毒用のアルコールを用意するなどコロナ対策を徹底。体調が悪い人は別室の会議室に誘導した。
ただ、市によると、発熱がある人が避難してきた場合にどの部屋に隔離するかなど、避難所ごとの具体的な部屋の割り振りや動線の分離は事前には決めることができていなかった。同市の担当者は「正直、コロナ対策の万全な準備ができている状況ではない避難所もある。今のところ、体調が悪くコロナかどうか判断に困るようなことがなくて助かっている」と明かした。