大阪府などが4日、新型コロナウイルス対策としてポビドンヨードを含むうがい薬の使用を呼びかけたことについて、吉村洋文知事は5日の定例記者会見で「(今回のうがい薬は新型コロナの)予防薬でも治療薬でもないが、感染拡大防止には寄与する可能性がある」などと述べた。医療関係者から使用法に懸念の声が出ているほか、品切れや転売などが問題化しているが、使用を推奨する考えを改めて示した。
吉村知事は「誤解されてはいけないのは、うがいをすることでコロナを予防できるわけではない。ウイルスを媒介する口の中の唾液のコロナウイルスを殺菌し、陰性化を早めていく効果が研究結果から明らかになった」と説明し、今後の研究で重症化を防ぐ効果が検証されるよう、期待を寄せた。うがいで口の中のウイルスが死滅したものの、口以外の体内にあるウイルスを見逃してしまう「偽陰性」となる恐れについては、「理論上はあり得る」と認めつつ、「万が一に備えて、うつさない、という観点からうがいをお願いしたい」と呼びかけた。
「慎重に発言すべき」愛媛知事が批判
一方、他県の知事からは異論が相次いだ。
愛媛県の中村時広知事は5日の定例会見で「よほどの確証がない限り慎重に発信すべきだ。いろいろな販売行動にも結びつき、一部の商品が品薄状態になることにもつながる」と懸念を示した。効果についても「非常に少ないサンプルでやったデータで、学会で承認されたわけでもない」と断じた。鳥取県の平井伸治知事は同日の会見で「うがいで肺の病巣を打ち砕くことはできない。県民も特効薬と勘違いするのは避けてほしい」と注意喚起した。【宮川佐知子、木島諒子、野原寛史】