宮崎県延岡市の元市職員、牧野義英さん(69)が、西南戦争最後の激戦地・和田越(わだごえ)の調査記録をまとめた「西南戦争~和田越ノ戦を語る戦争遺構」を出版した。地域一帯に眠る当時の塹壕(ざんごう)や砲台跡などの遺構約70カ所を解説している。
和田越は同市北部の郊外にある峠。牧野さんの実家近くの山林に戦跡があり、幼少時から人工的な溝や穴を不思議に思っていたのが遺構調査のきっかけだった。2019年1月から約1年半かけ、無鹿山・和田越・小梓(こあずさ)峠・長尾山の約3キロにわたる激戦地跡を踏査した。
調査の結果、遺構は薩軍構築と思われるのが18カ所、官軍構築とみられるのが48カ所、どちらか不明1カ所の計67カ所を確認。本では遺構の規模、位置を地図や写真付きで紹介している。牧野さんは「これほどの西南戦争の遺構が残るのは延岡だけだと思う。戦跡巡りなど観光資源としても活用できれば」と語る。
A5判261ページ、1500円(税別)。JR延岡駅前の複合施設「エンクロス」や県北部の道の駅で販売している。問い合わせは牧野さん(080・1750・5139)。【重春次男】