大阪府で新型コロナウイルス感染による重症者数が緊急事態宣言発令時を上回るなど、感染者数の増加に伴い死者や重症者も増えている。元厚生労働省医系技官の木村盛世(もりよ)氏(感染症疫学)は、「指定感染症を外すべきだ」と提言、新型コロナを特別視せず、PCR検査での陽性者数を数えるのもやめるべきだと語る。
大阪府では17日、新型コロナ感染で70~90代の男女5人が死亡、死者は111人となった。重症者は5人判明し、府内で療養中の重症者は70人と、第1波のピークだった65人(4月19~21日)を15日から超えている。
全国で確認された死者は15人。5月25日に緊急事態宣言が全面解除されてから最多となった。
これについて木村氏は、「感染者数の絶対数が増えれば、死者数や重症者数が増えるのは当然だが、ピークが前に来ようが、後に来ようがトータルの死者数は一緒だ。有効なワクチンが存在しない中では感染者が増えることを許容しない限りは収まらない」と語る。
現在、新型コロナは感染症法で「指定感染症」となっており、入院の医療費は公費負担で、患者は全数報告の対象だ。
「指定感染症から外し、『大化け物』のイメージを払拭すべきだ」と木村氏。新型コロナを特別視することによる弊害は大きいという。
「軽症の入院患者がいれば医療機関は重症者に手が回らなくなる。新型コロナに特化すれば、がんなど他の命に関わる病気の治療や臓器移植などができなくなる。陽性者が出るたびに濃厚接触者を後追いすることが『儀式化』しており、必要なデータを集める疫学調査をする余裕もない。医療従事者の精神的負担も大きく、医療崩壊を加速させるにすぎない」
改めて今すべきことは何か。木村氏は、「PCR陽性者数のカウントをやめ、医療機関に予算をつけ、重症者対応に焦点を当てる。そのうえで大阪など重症者が多い自治体から、医療体制に余裕のある地域に自衛隊ヘリなどで搬送できる体制を整えるべきだ。そうすれば国民の安心感も生まれるだろう」と提言した。