大阪府の新型コロナウイルス感染の重症者数をめぐり、全体の感染者数でははるかに多い東京都の重症者数を上回るという「逆転現象」が続いている。重症者数の増加は医療体制の崩壊にもつながりかねないだけに、対策は急務だ。
大阪の20日の新規感染者は132人で、重症者は6人判明した。府内で療養中の重症者は63人となった。
東京都の同日の新規感染者は339人で、重症者数は前日から4人増えて36人だった。東京都は独自の基準で重症者数を公表しており、国の基準では19日時点で41人。20日の数字も国の基準では10人程度増える可能性もあるが、それでも大阪よりは少ない。
東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「大阪はどこかで感染予防策が不足していた部分がある。また、高齢者の集団に感染が入り込んでいる可能性もある」と語る。
ただ、「今週に入り、東京と大阪ともに陽性者数は高止まりから低下の傾向になってきている。2週間後も現在と同じ傾向ならば、両都市に大きな差はないといえるのではないか」(児玉氏)と分析する。
医療に対する意識や行動に着目する視点もある。日本医科大学特任教授の北村義浩氏(感染症学)は、「高齢者層が医療機関の受診をためらって手遅れになるケースや、心臓病や糖尿病などの循環器系の患者に対する遠隔やオンライン診療が進んでいない可能性もある。また、吉村洋文知事も推測するように『高齢者と若者の距離が東京より近い』という事情もあるかもしれない」と指摘する。
大阪では20日現在、重症者向け病床の使用率は33・5%。重症者用病床の逼迫(ひっぱく)も懸念され、府は病床を増やす見通し。
前出の北村氏は、「政府の新型コロナ対策分科会には、関西拠点の人物が見えない。地域の実情を知る専門家も必要ではないか」と強調した。
お盆休みでは帰省を自粛した人も多く、今後の動向に注視される。
前出の児玉氏は、「帰省する人が少なかった分、全国的に下がるか、地方が増え都市が下がるのか、注視するしかない。いずれにせよ、自治体間で同じ基準でなければ比較ができない」と語った。