「今の日本は旧共産圏よりも酷い」 政府や飲食店のコロナ対策に憤る在日外国人たち

一向に収束する気配のない新型コロナウイルス。政府・自治体はもちろん、大きな打撃を受けた飲食店なども対応に追われているが、綻びが生まれるケースは増え続けているようだ。

◆「再入国制限」で囚われの身に

東京都では独自に23区の時短営業要請を延長するなど、まだまだ終わりの見えない新型コロナウイルス。飲食店などは厳しい制限の下、なんとか対策を講じているが、こうした新たな日常に「慣れてしまった」のか、緩みが見える店舗も現れている。

そんな状況に憤りを隠せないのが、異国の地で通常以上にストレスを感じている在日外国人たちだ。

こう書くとよく目にする「嫌なら帰れ」理論が飛び出しそうだが、ご存知のとおり、現在日本では諸外国から批判を浴びている「再入国制限」が行われている。日本で長く暮らしている永住者や長期在留者たちは、囚われの身となっているのが現実だ。5年ほど日本に暮らしている、あるアメリカ人男性(37歳)はこうぼやく。

「コロナが深刻になってきたタイミングで一時は帰国も考えましたが、そうすると戻ることができないので、仕事にも差し支えがある。東京五輪が中止になって、ようやく日本政府も対応を始めましたが、最近は国民任せでその国民もストレスに耐えかねて気が緩んでいるように思います。街でもマスクを外している人を目にしますし、正直、不安です」

◆マスクを外してお喋りする店員

同じく、別なアメリカ人男性(40代)も、レストランで目にした光景に憤りを隠せない様子。

「接客しているときはマスクを着けていたけど、店員同士では耳にかけたまま外してお喋りしてたんだ。お客さんから見えるところで、そんなことをするなんて信じられなかったよ。他にも厨房でマスクを外して調理しているお店も見たことがあるし、身の危険を感じるね。当然、すぐ店を出たよ」

雀の涙のような補償しか受けられない飲食店の苦しみは察するに余り有るが、こうしたお店が業界全体の印象を悪化させていることは間違いないだろう。都内在住の居酒屋店主はこう語る。

「コロナの影響で綱渡りの経営が続いていますが、それでも政府のガイドラインに則って、店内でも可能な限りの対策をしています。お客さんと従業員を守るのは飲食店の務めだと思いますが、一部のお店のせいで飲食業界全体が悪いように報道されるのには納得がいきません。テキトーな対応をしている一般企業だってたくさんあるはずなのに……」

◆マスクの有無は自己責任?

こうしたコロナ対策への温度差は、無責任な「要請」ばかりを強いる政府や自治体の姿勢も影響しているのかもしれない。言わば自己責任論の極北だ。

「小さいバーでも、常連客だけになると店員もお客さんもマスクを外しているのでビックリしました。集まっている人の自己責任と言ってしまえばそれまでですが、お店のなかで広がったことに気づかないで、外の人を感染させてしまう可能性もあるわけでしょ? やんわりたしなめても、酔っ払っていると聞く耳持たずで、呆れてしまいました」(スウェーデン人・女性・22歳)

欧米で新型コロナウイルスが蔓延し始めたころは、その感染者数の少なさから「マスク先進国」を謳っていた日本。今はその覇権にも陰りが見えているようだ。

◆「旧共産圏より酷い」との声も

個々人や各店舗、企業などがコロナ対策に全力を尽くすべきなのは、言うまでもないだろう。しかし、肝心の国全体を守るべき政府が、コロナ対策を地方自治体や個人任せにしている感は否めない。こうした国の対応の甘さにも在日外国人からは厳しい意見が飛び出した。

「私は人生の半分をかけて、共産主義を生き延びてきました。それが、仮にも民主主義を名乗る国で、こんな光景を目にするとは思いませんでしたね。メディアの質問には答えないし、文書は捨てるか黒塗りで、共産国と同じことが起きています。ニュースも一般の日本人も、それに対して誰もおかしいと言わない。自分でも今この国で起きていることが信じられません」(ポーランド人・女性・60代)

新型コロナウイルスに苦しみ、杜撰な対応に憤っているのは、我々日本人も同じだ。そうであるならば、在日外国人よりも、より数の多い我々が声をあげないことには、何も変わることはないだろう。本稿で紹介した意見について思うことがあるのならば、ぜひ身近な人と話し合ったり、社会に対しての意思表明をしてほしい。

<取材・文/林 泰人>

【林泰人】

ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン