毎年のように全国のどこかで発生する自然災害。備えの必要性を市民に伝えたり、現場で避難や復旧・復興に関わったりする活動をするボランティアの防災士が増えている。日本防災士機構によると、民間資格の「防災士」の認証登録者は全国で19万7229人。登録が始まった2003年度の1581人の125倍になった。東京都、愛媛県に次いで3番目に多いのが1万1301人の大分県だ。九州では福岡が12位、宮崎が13位で続く。【井上和也】
大分の防災士は11年3月の東日本大震災をきっかけに、1326人から9年間で8・5倍。全国の3・9倍を大きく上回っている。背景には今後30年以内での発生確率が70~80%といわれている南海トラフ巨大地震への不安がある。県は東日本大震災の検証で住民一人一人が防災に備える「自助」、災害時の避難や近隣住民との協力である「共助」を果たす重要性を再認識。自主防災組織化を図るため、中心的な役割を担う防災士の養成に力を入れている。
12年度には防災士3000人の養成を目標に各市町村で約30回の防災士養成講座を開き、9割の2700人が登録した。13年度には知事や県議、市町村長をはじめ約800人、さらに14年度には学校、社会福祉施設や事業所などで約1100人の防災士が誕生している。各自主防災組織から推薦された人には受講料や受験料など登録までにかかる費用が免除されており、現在約3400の自主防災組織のうち76・9%で防災士1人以上を確保している。
地域別でみると、県南東部の佐伯市が特に多い。南海トラフ巨大地震が起きた場合、津波による被害が懸念され、防災士は11年の74人から約20倍の1431人に増えた。総数では大分市の3567人に次ぐ多さだが、人口1万人当たりでは大分市の74・6人に対し、佐伯市は204・3人と2・7倍にもなる。
女性の登録者増も著しい。7人から329人にまで増え、14年には佐伯市防災士会に女性部も結成された。子どもたちに早くから防災意識を持ってもらうため、小学校や幼稚園、保育園を訪れ、手作りの紙芝居やダンスなど趣向を凝らした普及活動を実施。イベントでは段ボールトイレの作り方なども紹介している。女性部長の渡辺早苗さん(68)は「段々認知度は上がってきたが、担い手も増やしたい」と話す。
大分県は各市町村で年3回程度、実践イメージトレーニングや意見交換会などを盛り込んだ防災士のスキルアップ研修を開催。19年度に計画した「地震・津波防災アクションプラン」の減災目標は「死者数を限りなくゼロにすること」としている。そのためにも全ての自主防災組織での「防災士100%」達成を目指している。
九州・山口の防災士認証登録
都道府県 防災士数 順位
大分 11301人 3
福岡 5392人 12
宮崎 5353人 13
熊本 2946人 26
山口 2276人 35
長崎 1783人 37
鹿児島 1471人 40
佐賀 1377人 43
(2020年8月末現在、日本防災士機構調べ)