不正に取得した戸籍と本来の戸籍を使い分け、生活保護費を不正に受給したとして、熊本県警熊本中央署は5日、熊本市中央区、自称アルバイトの男(60)を詐欺容疑で逮捕した。
発表によると、男は2016年3月~19年7月、別の名義の免許証を使って県内の運送会社に勤務し、収入があるにもかかわらず、出生時からの名義で熊本市から生活保護費計約423万円を不正に受給した疑い。昨年7月、県警天草署に窃盗容疑で逮捕され、その後の調べで、二重戸籍であることがわかった。
熊本中央署によると、男は1986年に警察に摘発された際、別の名義を名乗った。しかし、その名前での戸籍がないため、本人が新たに戸籍を作る「就籍」の許可を熊本家裁に申し立て、88年に認められたという。
熊本市役所によると、県警からの情報提供を受けて本人に確認したところ、二重戸籍と認めて判明。9月23日に被害届を出した。
法務省民事局によると、戸籍の有無は、就籍の手続き時に家裁が調査して確認するという。同局は「就籍が悪用されたケースは把握していない」としている。