岐阜県内の水田で、水稲の養分を吸って枯らす害虫「トビイロウンカ」の被害が相次いでいる。県や生産者、県農業共済組合が9月下旬から10月上旬に実施した調査では岐阜、各務原、瑞穂、大垣市や池田町などの水田計894枚で稲が円形に枯れる「坪枯れ」が見つかった。県はさらに被害が広がる恐れがあるとして、1998年以来22年ぶりにトビイロウンカの大量発生に関する注意報を出し、生産者に早めの収穫を呼び掛けている。【黒詰拓也】
県病害虫防除所によると、トビイロウンカはベトナムや中国から飛来し、主に稲の根元について養分を吸い取る。繁殖力が強いのが特徴で、雌1匹が300~700個の卵を産む。ふ化してから2週間ほどで体長5ミリほどの成虫になるという。
日本では主に九州で被害が出やすいとされるが、岐阜では98年以降、ほとんど個体が確認されなかった。今年は長梅雨で西からの風の影響を強く受けたため、大量のウンカが飛来。その上、8月の猛暑でウンカが活発に動き回ったことが被害の急拡大につながったとみられる。被害は県内にとどまらず、6日現在で愛知など2府22県でトビイロウンカに関する注意報や警報が出ている。
岐阜県内では、作付面積が県内で最も多く、晩生の米でもある「ハツシモ」の収穫時期を迎えている。県病害虫防除所では、県内のどこの水田にもトビイロウンカが潜んでいる可能性があるとみて、坪枯れが起こる前の稲刈りを呼びかけている。小川靖史所長は「農薬の効果や散布時期がウンカの大量発生と関係があるのか、来年に備え原因を調べたい」と話す。
トビイロウンカの被害報告は、特に各務原市で多く寄せられている。地元の生産者と県農業共済組合岐阜支所の職員が4日に蘇原、那加地区を中心に調査したところ、市内の計815枚で坪枯れが見つかった。なかには一枚で1200平方メートルある水田のほぼすべてに被害が及んでいるケースも。イネの根元付近には体長数ミリの大量のウンカが動き回っており、生産者からは「これはひどい」「ぞっとする」との声が聞かれた。
同市農事改良組合の川村益美会長(79)は「60年以上、各務原でコメを作っているが、これだけ被害が広がったのは初めて。収入減になる農家も出てくる」と心配している。