魅力度最下位の栃木県知事が“直談判” 調査会社社長に「最下位はチャンス」と逆提案される

調査会社「ブランド総合研究所」(東京都港区)による「都道府県魅力度ランキング」で、初の最下位となった栃木県の福田富一知事が21日、同社に直接出向き、調査方法などについて申し入れを行った。
栃木県は14日発表のランキングで、8年ぶりに最下位を抜け出して42位に浮上した隣県の茨城県にかわり、前年の43位から47位に転落していた。福田知事は19日に同社に対し「直談判する」と発言。この日、応対した同社の田中章雄社長(61)は知事と「何度も会ったことがある」といい、午前中に約1時間行われた話し合いを「和やかな感じでした」と振り返った。
田中社長によると、福田知事からは「数字をいろいろなところで使うので、より精度が良く、使いやすいものに改善してもらいたい」として、以下の3点の申し入れがあったという。
(1)精度を高めるために回答数を増やしてほしい
(2)総合指標を作ってほしい
(3)調査前に都道府県や市区町村から情報提供を受け、理解した上で評価してほしい
(1)については「精度を上げるのは、我々も本望。回収数を増やしていく努力をする。社内で検討を始めたい」と田中社長。今回の調査の有効回収数は3万1734人で、市区町村や都道府県など1地域ごとの評価する回答者数は、平均で約599人だった。
(2)については「総合指標は、複数のものを合わせて作る。算出方法が変わると、継続性を保つのが難しくなる。また、計算式によって(結果を)意図的に変えることができてしまい、公平ではなくなる」と指摘。それでも「まったく否定というわけではなく、何回か試してはいるので、中長期的にトライしていきたい」とした。
栃木県は「魅力度」について「調査した84項目の1つでしかない。他に『観光意欲』や『居住意欲』などもあり、30位台のものがほとんど。これ(魅力度)だけ取り上げられると、それが栃木県の総合評価のように誤解されかねない」と主張。田中社長は「(魅力度は)総合評価ではありますが、『他にもこういうランキングがあって、栃木県さんは上ですよ』というところは、ホームページなどを使ってお伝えしていきたい」と述べた。
(3)について、田中社長は「事前に情報提供があると、その情報の質によって回答が変わってしまう。(情報提供が)うまくいったところは点数が上がるというように。それはできないですね」と却下した。
栃木県は最高位だった2015年の35位から46位、43位、44位、43位と推移し、初の最下位に沈んだ。田中社長は「最下位は残念な結果だが、県民の皆さんに危機感を持っていただく最大のチャンス。今までの順位も、最下位ではなくてもそんなに高くなかった。日光などは素晴らしいのに、順位に反映されていない」と分析した。
さらに「理由としては、例えば日光のお土産に『栃木』と書かれていない。鬼怒川温泉も、栃木鬼怒川温泉とは言わない。宇都宮ギョーザも、栃木宇都宮ギョーザとは言わない。日光に行っても『栃木に行った』とは思えないのではないか。例えば『栃木ルートの中の』日光、鬼怒川、宇都宮と呼ぶようにしていけば変わるのではないか。このように、今回の最下位が、県民の皆さんが『栃木を何とかしないと』と考えるきっかけになればと思うんです」と提案した。
ランキングは2009年に始まり、今回が12回目だが、最下位になった県の知事が申し入れに来たのは「初めてですね。ビックリしました」と田中社長。それでも「それだけ大事に、重要に思っていただいているのはうれしことですね」と喜んでいた。