女性客の手を2度ガブリ 看板犬の危険性と人気カフェの評判

「私の名前はクー子です。ヒトが大好き。もし良かったらナデナデヨシヨシして下さいね。とってもウレシイです」

体長約90センチ、5歳の雌のゴールデンレトリバーの傍らには、こんなメッセージが記されていた。

神戸・元町のベーカリーカフェ「ココシカ」で今年2月と5月、看板犬のゴールデンレトリバーが女性客2人に噛みつき、ケガをさせたとして、兵庫県警生田署は16日、経営者の田尾知子(42)と従業員で夫の達也(49)両容疑者を業務上過失傷害と動物愛護法違反の疑いで逮捕した。

クー子は2月24日、女性客(49)の右手をガブリと噛み、1週間のケガを負わせ、5月28日にも別の女性客(37)の左手甲に噛みつき、2週間のケガを負わせた。

店は1階でデニッシュ食パンとベーグルを販売。2階がドッグカフェになっていて、店の入り口には「ゴールデンレトリバーがいます」という看板が掲げられていた。

■リードもつけず放し飼い

「被害者のひとりはクー子が毛糸玉を口にくわえたため、のみ込んだらマズいと思い、取ってあげようとしてガブリとやられた。被害届を出さへんかったから、様子を見とったんやが、次の被害者が届けを出したので任意で話を聞いた。それでもらちが明かんかったもんやから逮捕に踏み切った。犬はオリには入れとったそうやが、自力で簡単に出られるような代物で、リードもつけておらず、店内で放し飼い状態やった」(捜査事情通)

店内で動物を展示し、触れ合う場所を提供する場合は、市長の登録を受ける必要がある。2人は登録を受けておらず、保健所が2~3月に3回、警告したが従わなかった。

調べに対し、知子容疑者は「今年2月ごろ、クー子がお客さんを噛んで以降は、顔馴染みや以前からのお客さんのみに犬を合わせており、店内に展示した営業はしていません」と一部容疑を否認している。

「奥さんが8年ほど前、店舗が入っている5階建てのビル1棟を丸ごと取得し、デザイン関係の仕事をしているご主人が店舗の設計やリノベーションを手掛けたそうです。店は女性客を中心に賑わっていて、ワンちゃんを目当てに訪れる客もいます。ベーグルやチーズケーキなど、おいしいと評判ですよ」(近隣住民)

温厚な犬として知られるゴールデンレトリバーだが、3年前、東京・八王子市で祖父母が飼っていた4歳の雄が、生後10カ月の孫娘を噛んで死なせるという悲劇が起きている。

ナデナデヨシヨシしていて、いきなりガブリとやられたら、たまらない。