小池都知事なぜ静観 都民ファースト「罰則付き条例」に透ける思惑

東京都議会の最大会派、都民ファーストの会(都F)がブチ上げた新型コロナウイルス感染者への「罰則付き条例」が波紋を広げている。ネット上では〈私権の制限にあたる〉などと反対意見が続出しているが、都Fは12月の定例会に提出する姿勢を崩していない。強気な姿勢に透けるのは、都民へのガムシャラなアピールだ。

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都Fは21日、全会派に条例案の提出について説明。問題の中身は①陽性者が自粛要請を無視して他の人に感染させた場合、②陽性疑いのある人が正当な理由なく検査を拒否した場合、③事業者が時短営業や休業の要請に従わず一定数の人数を感染させた場合――に5万円以下の“罰金”が科せられるというものだ。

今のところ、自民党や公明党、共産党など他の主要会派が軒並み「反対」に回っているため、可決される見込みはほぼゼロ。しかし、都Fは提出を諦めていないという。

「条例案の可決には過半数が必要なので、数の論理で言うと、まず通りません。ムリ筋な条例案の提出を強行する背景には、焦りがうかがえます。来年に都議選を控えているのに、今の都Fは存在感がまったくない。都Fから出馬しない都議もいると言われています。生き残りを図るために、『罰則付き条例』という『全国初』の試みで、都民にアピールする狙いがあるのでしょう」(都政担当記者)

■反対が賛成を上回っている

しかし、都民の反応は冷ややかだ。実際、罰則付き条例に関するパブリックコメント(約2700件)は、反対が賛成を上回ったという。

気になるのは、「機を見るに敏」な小池都知事の反応だ。子分である都Fの条例案を絶賛しているかと思いきや、静観している。

「小池知事も都民の賛成が多ければ、条例案に乗っかっていたでしょう。国に対しては罰則規定を求めていますからね。罰則付き条例を本当に実現したいなら、知事の専決処分で決められたはず。あえてそうしないのは、旗色を鮮明にしない方が、うまくいけば自分の手柄にできるし、失敗したら都Fのせいにできるので、得策だと考えているからでしょう」(都政関係者)

コロナ罰則規定を掲げる都F。果たして、来年の都議選で何人が生き残るのか。