大阪市を廃止し、4特別区を新設する「大阪都構想」の住民投票を11月1日に控え、共同通信社が市の有権者を対象に実施した電話世論調査の結果が25日、発表された。都構想への賛成は43・3%、反対が43・6%と拮抗(きっこう)。9月上旬の前回調査では賛成が10ポイント近く上回っており、推進派は微差ながらも“逆転”を許した形となった。投開票前のラストサンデーとなったこの日は賛成派、反対派が街頭で支持を訴えた。
大阪・阿倍野区の商業施設「あべのキューズモール」の前は、マスクを着けた約300人ほどの聴衆で、しっかり密になってしまった。
府議も市議もおらず、大阪では“門外漢”のはずの「れいわ新選組」山本太郎代表(45)の演説会。元タレント見たさも一因だろうが、皮肉にも、今回の住民投票の街頭演説会で最も熱を帯びているようにも映った。反対派・山本氏の言葉が今回の戦いの核心を突く。「これだけ人がいながら、都構想を完全に理解している人が10人程度って? これはマズい状態です」
コロナ禍で争う是非。維新は密を避けるため演説場所を告知せず、ネット生配信を中心に活動。選挙カーもほとんど見ない。この日、吉村知事が訪れた生野区のスーパー前も、女性支持者らの歓声に迎えられたが、革命を起こすという気運は感じられなかった。それは反対派の集会も同じだ。調査では、反対理由で最も多かったのは「メリットが分からない」(30・8%)だった。街頭では「賛否より、そもそも、なんでこんな時期に住民投票をするのか」という声を多く聞いた。
コロナで疲弊する市民は、5年後の市の体制より目の前のことで必死のはず。そんな記者も大阪市民。前回と同じ2文字を記入するつもりだが、いずれにせよ、先行きが見えにくいのは確か。分かっているのは、賛成多数ならば、住んでいる区の名が変わることだけだ。(筒井 政也)