二重行政有無、5県首長で認識に差 12市長が「特別自治市」目指す 本紙アンケート

僅差で否決された大阪都構想の住民投票を受け、産経新聞社は、大阪府・市を除く全国の政令市長と政令市がある道府県知事の計33人に都市制度のあり方などを尋ねた。所管業務が重複する「二重行政」の有無をめぐり、5県で知事と市長の間に認識の差があることが判明。また12政令市長が道府県から独立し、国所管以外の全ての事務を担う「特別自治市」を目指すとの考えを示した。
アンケートは10月下旬以降、各市長と知事に書面で実施した。
二重行政解消をめぐっては大阪府・市が都構想を掲げ、政令市の大阪市廃止や特別区設置を目指したが、2度の住民投票で否決された。
アンケートでは、千葉市の熊谷俊人市長や横浜市の林文子市長、神戸市の久元喜造市長らが二重行政が「ある」と回答。これに対し、千葉県の森田健作知事や神奈川県の黒岩祐治知事、兵庫県の井戸敏三知事らは二重行政が「ない」「どちらかといえばない」と答え、同一県の首長間で認識が異なるケースが5県であった。
政令市側からは「図書館や公営住宅など双方で設置する類似施設の議論が必要」(熊谷・千葉市長)、「事務・権限が重複するものがある」(久元・神戸市長)との意見があった。
また岡山県・市は両トップが二重行政の存在を認めた。新型コロナウイルス対応や産業政策の役割分担などを理由とした。
さらに二重行政があるとした大半の市を含む12市が、今後目指すべき都市像として「特別自治市」を掲げた。特別自治市は政令市側の権限を強めて道府県から独立する大都市制度構想。二重行政の解消を目的とし、住民サービスの効率化と充実を目指す。ただ実現には法整備などが必要だ。
11月1日に実施され、約1万7千票差で否決された大阪都構想の住民投票の結果について、影響が自らの自治体に「ある」「どちらかといえばある」と答えたのは6首長。ただ都構想への賛否を問わず、大半の首長が住民投票を機に、大都市制度や地方自治のあり方の議論が進むことを望んだ。
主な質問項目
・「二重行政」は存在するか
・現行の政令市制度の課題は何か
・目指すべき都市のあり方の形は
・大阪都構想の住民投票結果への受け止めは
・住民投票結果は何らかの影響があるか