菅義偉首相は16日、来日した国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と会談する。来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの開催に向け、緊密な協力を確認する。寒い季節に入り、日本各地で新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にあるが、万が一、五輪中止となれば莫大(ばくだい)な経済損失が発生するとの試算もある。国民生活を守るためにも、感染防止策を万全にしたうえでの五輪開催は至上命題だ。
開幕まで8カ月余りとなるなか、バッハ氏の来日は、ホスト国のトップとともに五輪開催に向けた強い決意を示す狙いがある。
大会関係者は「安倍晋三前首相は非常に熱心な五輪推進者で、節目で登場してきたが、バッハ氏は後継の菅首相にも、引き続き強力なサポーターであってほしいと考えている」と指摘している。
バッハ氏は16日、菅首相や東京都の小池百合子知事と会談し、大会組織委員会の森喜朗会長との共同記者会見に臨む。17日には選手村と国立競技場を訪問する予定。18日まで日本に滞在する。
東京都では先週、連日300人を超す新型コロナウイルスの新規感染者が出ており、一部に「五輪中止」を煽るような報道がある。ただ、これは日本経済に甚大な影響を及ぼしそうだ。
関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算では、観客収容人数を当初計画の50%で開催した場合で約1兆3898億円、中止した場合、4兆5151億円もの経済損失になるという。
新型コロナウイルスを受けた企業倒産や失業者増、自殺者増が報じられるなか、五輪中止は日本経済に破滅的打撃を与えかねない。
元通産官僚で評論家の八幡和郎氏は「観客数や規模の縮小、選手への検査や2週間隔離などの対策は考えられるが、中止を主張するメリットは何もない。中止の議論には『アスリート・ファースト』の視点も欠けている。延期すれば選手は全盛期を過ぎ、中止なら、ある世代の選手が五輪に参加できない。『観光業やスポーツビジネスに補助金を出せばいい』との議論もあるが、お金だけでは人材も逃げてしまう。経済を考えれば2年延期もあり得るが、アスリートのためにも、来年開催するのが望ましい」と語った。