暴力と金銭で心身を支配 生活費を払えずエスカレートか 同居男性殺害、容疑者逮捕から10日

滋賀県愛荘町東出のアパートで昨年10月、無職岡田達也さん=当時(25)=が家人から食事を制限され、繰り返し暴行を受けて殺害されたとされる事件で、無職小林久美子容疑者(55)らが先月25日、殺人容疑で逮捕され、10日が過ぎた。県警は、小林容疑者らが生活費を払えなくなった岡田さんの心身を継続的な暴力などで支配した末、殺害したとみて、詳しい動機や背景を調べている。
捜査1課によると、岡田さんは2018年10月ごろから小林容疑者宅で生活を開始。当初は生活費を入れていたが、解体作業の仕事を辞め、昨春ごろから払えなくなった。暴力は同居後ほどなくして、ささいな理由などで受け始め、支払いが途絶えると小林容疑者や同居のアルバイト作業員の少年(19)=殺人容疑で逮捕=は暴力をエスカレートさせた。岡田さんは死亡時、身長174センチに対し体重は30キロ台で、全身に金属棒などによるあざがあったという。
■逃げられない状態?
なぜ、岡田さんは逃げなかったのか。県警によると、アパート内では監禁や拘束された状態でなく、一人で買い物に出ることもあったという。やせ細った姿で小林容疑者と外出する様子を見かけた近所の女性は「夫婦にも恋人同士にも見えなかったが、無理やり同行させられているようでもなかった」と振り返る。
捜査関係者によると、小林容疑者は岡田さんの収入を管理し、運転免許証なども保管していた時期があるといい、暴力と金銭面で心身を支配し、岡田さんが逃げられない状態だった可能性があるとみて調べている。
■「150万円払え」家族脅迫
さらに、小林容疑者らは昨年8月ごろから、岐阜県に住む岡田さんの兄(29)や父親にさまざまな名目で金銭を要求。兄へは「(岡田さんは)仕事をしないのに面倒を見ている。150万円を払え」「用意しないならヤクザを連れて行く」などと電話で脅し、通話中、岡田さんを殴って悲鳴を聞かせたこともあったという。
結局、2人から金銭を脅し取れず、兄に最後に電話をかけたとされる昨年10月19日から1週間後の26日、岡田さんの死亡が搬送先の病院で確認された。県警は、数カ月間の暴力や食事制限で衰弱していた岡田さんに対し、恐喝に失敗した小林容疑者らがどう対応したかも調べている。
■他の同居人被害も捜査
県警の説明では、小林容疑者は、過去の婚姻時の姓や通称から周囲に「福田あいり」と名乗っていた。10年ごろには愛荘町長野のアパートで、別の同居人らと最大9人で暮らしていた。11年春には、同居人男性(33)に十分な食事を与えず、ほかの同居人3人とともに鼻の骨を折るなど全治6カ月のけがを負わせたとして、今年11月、傷害容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、岡田さんやこの男性には、同居当初は優しく接し、生活費の未払いなどを理由に徐々に暴力を強めていった点などが共通するという。2人による通報や被害届などはなかったといい、県警は、ほかの同居人らに被害がなかったか調べている。
小林容疑者と同居少年の逮捕容疑は、昨年5月下旬~同10月25日、アパート自室で岡田さんに十分な食事を与えず、素手や金属棒などで頭部などに何度も暴行を加え、殺害した疑い。また、大津地検は今年11月、小林容疑者について、昨年8~10月、岡田さんの兄から金銭を脅し取ろうとした恐喝未遂罪で、11年の同居人への傷害罪でそれぞれ起訴した。