消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は25日、前のハンドルや後ろの荷台に幼児を乗せる座席を付けた自転車が転倒するなどした事故について原因を調べ、報告書をまとめた。報告書では事故の分析や走行実験の結果から安全な使用法を提言。幼児1人を乗せる場合は後部の座席に乗せた方がハンドル操作への影響が少なく、安全性は高いとしたほか、幼児2人を乗せる場合は、通常の自転車よりも安定性が高い電動アシスト自転車の方が望ましいとした。
消費者事故調は、幼児が同乗した自転車(電動を含む)事故のうち、都内で1221人が救急搬送された事故(2011~17年)と消費者庁が医療機関から情報提供を受けた1029人の事故(10~18年)の状況を分析した。
事故調によると、幼児を同乗させる自転車は、ハンドル中央部に幼児座席が元々装備されている「前乗せタイプ」と、後部にあらかじめ幼児座席が設置されている「後ろ乗せタイプ」の2種類に大別される。幼児2人を同乗させる場合は、後付けで前後に座席を付ける場合が多いという。事故の分析から、これらの使用方法を検討した。
幼児1人を乗せる場合に「前乗せ」では、幼児の重さなどでハンドル操作がふらつく恐れがあるとして「後ろ乗せ」を推奨。幼児2人を乗せる場合はハンドル上に最初から設置されている「前乗せ」を選び、後部座席を後付けで設置することや、電動アシスト自転車を選ぶことを勧める。
都内で救急搬送された1221人の事故は停車中の転倒事故が大半で、幼児896人が負傷。そのうち63%の幼児は前座席に乗っていた。また、座席に幼児を乗せたり降ろしたりする際などにバランスを崩して転倒する恐れが高いことも分かった。
公益財団法人「交通事故分析センター」によると、09~18年の10年間で自転車に同乗していてけがをした幼児は計1万235人おり、うち7人が死亡。18年には横浜市で前部の幼児用座席に長男を乗せ、次男(当時1歳4カ月)をひもで抱っこして電動自転車を運転していた母親が転倒し、次男が死亡する事故が起きている。
幼児用座席付き自転車は保育園や幼稚園への送迎で利用される機会が多く、特に自家用車での送迎が認められない都市部では重要な移動手段となっている。道交法や自治体の規則の改正で、09年に幼児2人を乗せた3人乗りが認められ、それに対応して電動アシスト自転車の出力も引き上げられて約10年となることから、消費者事故調が事故の原因や再発防止策を調査していた。【林奈緒美】
幼児用座席付き自転車を選ぶポイント(消費者庁の消費者安全調査委員会の報告書から)
自転車の車体の安全性を示す「BAA」「SG」マークや、3人乗りなら「幼児2人同乗基準適合車」マークが付いたものを選ぶ。
【幼児1人を乗せる場合】
・「後ろ乗せ」を選び、後部の座席に乗せる
【幼児2人を乗せる場合】
・「前乗せ」を選び、後付けで後ろ座席を設置する
・「後ろ乗せ」を選び、ハンドル上に座席を後付けする場合は、スペースに余裕のある製品を選ぶ
・安定性の面から電動自転車を選んだ方がよい