和歌山県田辺市の資産家で「紀州のドン・ファン」と呼ばれた酒類販売会社の元社長、野崎幸助さん(当時77)に2018年、致死量の覚醒剤を口から摂取させて殺害したとして、県警は28日、殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで、元妻の須藤早貴容疑者(25)を逮捕した。須藤容疑者の身柄がある県警は認否を明かしていないが、覚醒剤は容疑者が入手したとみており、動機などについて取り調べを進めている。
事件現場となった田辺市の野崎さんの自宅前はこの日、報道陣約30人が駆けつけたが、ピンク地に白いタイルの派手な外壁とは裏腹に、家主を失い3年、時が止まったようにひっそり。近所の住民によると、財産が市に寄贈されているため「たまに市が草刈りに来る」が、監視カメラが向けられた空き地は荒れ放題だった。
近所に住む会社経営の男性(83)は、かつて野崎さんの運転手を務めていた。野崎さんが白浜のホテルで開いた誕生日パーティーに招かれ、須藤容疑者と並んでうれしそうな姿を見たという。「背伸びしてチュー(キス)をする姿は目も当てられなかった」と振り返った。
近所の女性は「数日前に週刊誌が取材に来ていたので、逮捕は驚かなかった。この辺の人はもう関心がないよ」。別の若い主婦は「静かな街ですので、ホッとしました」と安どの表情を見せた。