名誉
毀損
( きそん ) 容疑で逮捕された高知市の男が、検察官から取り調べを受けた際の映像を動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開し、刑事訴訟法違反(開示証拠の目的外使用)で起訴されていたことがわかった。取り調べの様子は高知地検が録音・録画し、事件の証拠として男側に示していた。
男は無職被告(71)。起訴状などによると、被告は2017年、当時の高知県警幹部らへの名誉毀損容疑で逮捕され、検察官の取り調べを受けた。検察側は取り調べを録音・録画しており、被告を起訴後、DVDを被告の弁護人に証拠開示。被告は弁護人からDVDを受け取ったとされる。
ユーチューブへの投稿は19年11月とみられる。映像は約1時間。高い場所に設置されたカメラから室内を撮影したもので、被告や検察官らが映っており、被告が「調書はウソばっかり」「(事件は)でっち上げだ」などと訴える様子が確認できる。
地検は被告側に映像の削除を求めたが、被告が応じず、今年1月、刑訴法違反で起訴。被告は今月17日に高知地裁で開かれた公判で、投稿を認める一方、「目的外使用にあたらない」と無罪を主張した。投稿映像は同25日までに約3780回再生されている。
刑訴法の目的外使用の規定は、04年の同法改正で新設された。開示範囲が広がった証拠の流出防止が狙いで、法定刑は1年以下の懲役か50万円以下の罰金。法務省刑事局によると、目的外使用を含む同法違反での起訴は15~19年に10件あった。
甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「取り調べでは関係者の個人情報が示されることもあり、ネットで拡散されると、捜査への協力が得られなくなる。弁護人は裁判後に返却させたり、一緒に閲覧するにとどめたりすべきだ」と指摘する。