新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国の緊急事態宣言は1日、福岡、大阪など6府県で解除された。飲食店に求められた時短営業は緩和され、観光地には遠のいた客足が少しずつ戻り始めた。感染再拡大への不安が引き続き残る中、明るい春は訪れるのか――。
北九州市門司区のJR門司駅前にある沖縄料理屋「一花(ひとはな)でいご」。沖縄民謡のライブが売りの店だったが、新型コロナウイルスの影響で歌い手を集められなくなり、2020年末にライブを廃止。店の規模を縮小して移転した直後に2度目の緊急事態宣言に見舞われ、一時は休業を余儀なくされるなど厳しい経営が続いていた。
宣言下で午後8時までだった閉店時間は、1日から午後9時までに繰り下げられた。店主の親泊(おやどまり)トシ子さん(69)は「店への協力金は減額されて4万円になったが、非常に助かる。お客さんが店でのんびり過ごせるよう、早く元通りに戻ってくれれば」と期待を込めた。
福岡県を代表する観光地の太宰府。太宰府観光協会によると、天満宮周辺では梅の花が見ごろになった2月下旬から人出が戻り始めたが、観光客を案内するバスガイドの姿はほとんど見られないという。天満宮近くの梅ケ枝餅店で働く高田由美子さん(49)は「今年は梅の見ごろの時期と緊急事態宣言が重なり影響は大きかった。再び、繁忙期となる11月ごろまでに何とかコロナが終息してくれればいいのだが」と話した。
子育て中の女性や会社員からは宣言解除を不安視する声も漏れた。福岡市南区の女性(27)は約2週間前に発熱して医療機関を受診。PCR検査の結果は陰性だったが、「1歳の長男と2人暮らしなので、自分が感染したら子どもをどこに預ければいいのだろう」と当時の不安な思いを明かす。「ワクチンが行き届くまであと1年ぐらいかかると思うので、それまでは辛抱するしかないのでは」
福岡市城南区の男性会社員(65)も「もう少し様子を見てもよかった。解除でまた元通りになってしまうのが心配だ」と不安を口にし、感染が心配で外出を控えているという北九州市八幡東区のパート従業員の50代女性も「福岡市に遊びに行きたいが、もうしばらくは我慢しようと思う」と話した。【宮城裕也、井上卓也、加藤小夜】