接種前日にワクチン到着 新潟県接種第1号の病院長は長袖肌着を反省

医療従事者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの先行接種が2月下旬から、新潟県でも国立病院機構新潟病院(柏崎市)を皮切りに始まり、8日からは新潟大学医歯学総合病院(新潟市中央区)など県内5病院で優先接種も始まる。先陣を切った国立新潟病院では、国に承認されたばかりの米製薬大手ファイザー製ワクチンが同病院に届いたのは接種前日という慌ただしさだった。接種の現場を追った。(本田賢一)
1170人分搬入
2月18日午前、ヤマト運輸のトラックが同病院の玄関前に横付けされ、2つの医薬品用特殊冷凍コンテナが慌ただしく運び込まれた。厳重に封かんされたコンテナが開けられると、病院職員がデジタル温度計に表示されたワクチンのパッケージ周辺の温度を確認し、「マイナス78・9度。OK」と告げる。ファイザー製ワクチンは品質維持のため、同75度前後で管理するよう求められているからだ。
各コンテナには、ドライアイスで冷凍されたワクチンのパッケージがそれぞれ1個入っており、到着から15分ほどで保管用冷凍庫に移された。ワクチンは1回目の接種から3週間後に2回目を打つことになっており、運び込まれたワクチンは1170人が2回接種できる量だった。
肩が見える服装で
接種は翌19日午前11時すぎ、同病院のリハビリテーションフロアでスタート。最初に受けたのは同病院の中島孝院長(62)で、新潟県内での接種第1号となった。担当した内科医長が、利き腕と逆の左肩付近をアルコール消毒した後、注射器の針を入れ筋肉に注射。わずか5秒ほどで終了した。
同病院では、1つのバイアル(ワクチン入り容器)で6回注射できるシリンジ(注射筒)を使っていた。シリンジによっては1つのバイアルで5回しか注射できないものもあり、貴重なワクチンを有効に使用する点で課題になっている。
中島氏は「注射の痛さを心配している方は安心してほしい。全然痛くない」と感想を述べる一方、自らの服装で反省の弁も。「ワクチンは肩の近くの三角筋に打つ。私は今日、長袖の肌着を着てきたので、注射をしにくかったと思う。集団接種をされる方は肩がしっかり見える服装で来たほうがいい」と話した。
副反応を観察
接種後は約30分間、用意された部屋で待機。「(海外で)新型コロナのワクチンを接種した190万人に21人が、アナフィラキシー(全身性のアレルギー反応)を発症しているとのデータがあるため、30分間待機して副反応を観察する。ただ、アナフィラキシーはアドレナリン注射で基本的に治ると考えられており、当病院でも発症した場合はこの治療を実施する」(中島氏)
この日は医師8人、看護師9人、それ以外の職員7人の計24人が1回目の接種を受けたが、副反応を示した人はいなかった。念のため、待機後に発熱や痛みが出た場合に飲む解熱鎮痛薬が配布され終了した。
同病院の先行接種対象者は500人強で、3月5日までにほぼ全員の1回目の接種を終えた。今月末までに全員に計2回の接種を終える予定だ。
中島氏は接種後の会見で「通常の病院業務を行いながら、ワクチン関連の情報が確定しない中で先行接種への対応をスピードアップしなくてはならなかったことが大変だった」と振り返りつつ、「医療従事者が先行接種することで、ワクチンに対する社会の安心感につながれば」と期待。「接種を受ける人が一定割合より増えれば、社会全体として感染拡大への予防効果が生まれ、新型コロナのパンデミック(爆発的な感染拡大)は収束していく」という。