NHKの経営委員会が9日開かれ、委員の互選で関西情報センター会長の森下俊三氏(75)が委員長に再任された。森下氏は委員長代行時代の2018年、かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHK番組を巡り、日本郵政グループの抗議に同調して「作り方に問題があった」などと批判。当時のNHK会長への厳重注意を主導し、経営委員の番組介入を禁じる放送法の違反が疑われている。
経営委は、NHKの最高意思決定機関。森下氏は元NTT西日本社長で、15年に経営委員(任期3年)になり、今年3月に3期目に入った。委員長代行を経て、経営委員長には19年12月に就任。NHKの改革や番組のネット展開などを後押しした。9日の経営委では、委員長候補に森下氏ら2人が推薦されたが、1人は辞退し、森下氏を委員12人の全会一致で選んだ。委員長代行には、同志社大教授の村田晃嗣氏(56)が引き続き選ばれた。
森下氏は9日の記者会見で「NHKは、受信料値下げなど21~23年度の中期経営計画の実現に向け、重要な時期だ。重責を認識し、公共放送として一層信頼されるよう努めたい」と語った。かんぽ報道を巡る番組介入の疑いについては「番組に介入した覚えはなく、執行部もそういうことはなかったと言っている」と改めて否定した。
森下氏の委員長続投には、野党やNHK内などから批判が出ている。国会でかんぽ報道問題を追及してきた立憲民主党の奥野総一郎衆院議員は「放送法違反が疑われる番組介入をして会長を厳重注意し、その際の経営委の議事録についても、NHKの情報公開審議委の全面開示の答申にもかかわらず、隠蔽(いんぺい)してきた。続投はありえない」と非難。NHK関係者は「NHKの自主自律をゆがめた森下氏を続投させたことは、経営委全体の見識が問われる」と強調した。【松尾知典】