東北新社、放送事業認定取り消しへ 外資20%規制に違反

放送事業会社「東北新社」が、外国資本の出資比率が20%を上回り、放送法に違反しているとされた問題について、武田良太総務相は12日、衛星放送事業認定の取り消しに向けた手続きを進めると明らかにした。認定を申請した時点で外資比率が20%以上あり、放送法に違反していたことが判明したという。総務省によると、放送事業者が一度認められた認定を取り消されるケースは平成19年に1例あるのみだという。
同社は平成29年10月14日に衛星放送事業を子会社の「東北新社メディアサービス」に事業承継しており、認定取り消しの対象は同社となる。同社は現在計4番組を放送しているが、認定取り消しの対象となる番組は「ザ・シネマ4K」のみで約700世帯が視聴している。
総務省は同社の認定取り消しについての聴聞を17日に非公開で行い、最終的な判断を下す。認定取り消し後に、放送も中止される見通しだが時期については未定だという。同社がケーブルテレビで流している同番組については取り消しの対象外となる。
総務省が東北新社の認定を最初に行ったのは平成29年1月。当時、外資比率の基準を満たしていると申請したが、実際は20・75%だったという。総務省に対し、東北新社は1%以上を保有する株主を足し合わせて申請したミスだと説明している。総務省も基準を満たしているかのチェックが不十分で、武田氏は総務省による放送事業認定にも「重大な瑕疵(かし)があった」と話し、チェック体制の強化について検討する考えを示した。
東北新社をめぐっては、総務省幹部が国家公務員倫理規程に違反する接待を受けたとして処分を受けており、放送行政がゆがめられるようなことがなかったか、第三者による検証を行う予定。