秋元被告、全面対決へ 窮地の主役「300万円」焦点

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で、収賄罪などに問われた衆院議員の秋元司被告(49)は29日の初公判で、元政策秘書の豊嶋晃弘被告(42)とともに起訴内容をいずれも否認し、検察側と全面対決する姿勢を示した。ただ、報酬の見返りに法廷での偽証を贈賄側に依頼したとされる証人買収事件も含め計8人の関係者が罪を認めて有罪が確定しており、事件の「主役」は窮地に追い込まれている。
午後1時半過ぎ、法廷に現れた秋元被告はノーネクタイにダークスーツ姿でゆっくりと被告人席に向かった。昨年8月に再逮捕される直前まで黒かった頭髪には白髪が多く混じっていた。続いて緊張した面持ちの豊嶋被告が着席した。
丹羽敏彦裁判長に促され、証言台の前に立った秋元被告は職業を問われると、「衆院議員です」とはっきりとした声で答えた。
検察側は冒頭陳述で、秋元被告らが中国企業「500ドットコム」側から、賄賂として(1)シンポジウム講演料200万円(2)陣中見舞い300万円(3)深●(=土へんに川)・マカオ旅行費182万5000円(4)北海道旅行費約76万円-の計約760万円を受け取った経緯を説明した。
対する弁護側は(1)について「シンポジウムに協力した対価だ」、(2)は「手渡しされたとされる時間には別の場所にいた」、(3)と(4)については「豊嶋被告が適切に清算していると思っていた」-といずれも否認した。証人買収事件については「そもそも300万円を受領しておらず、虚偽証言をさせようと共謀するはずがない」とした。
豊嶋被告も贈賄側の面会やシンポジウムの対価について、秋元被告に相談したことはないといずれも否認。旅費については「請求されれば払うつもりだったが、されなかった」と釈明した。
「俺は逮捕されるのか。(現金を)もらっていない」。秋元被告は東京地検特捜部に最初に逮捕された令和元年12月25日の未明、産経新聞の電話取材にこう答えていた。1年3カ月を経た29日の初公判でも主張に大きな変更はなく、身の潔白を訴えた。
秋元被告は2度の逮捕、起訴を経て昨年2月に保釈されると記者会見を開き、公の場でも無罪を主張した。起訴段階で計約760万円と認定された賄賂のうち主要な争点となっているのが、平成29年9月の衆院解散日に贈賄側が手渡したとされる現金300万円だ。
密室での現金授受は物的証拠が少なく、すでに有罪が確定している贈賄側の判決でも供述に頼る部分が大きかった。ただ、贈賄側は公判で「(現金を)封筒に入れ、和菓子と一緒に手提げ袋に入れて渡した」などと提供した場面を細部にわたって証言していた。
対する秋元被告側は「面会した事実はない」と真っ向から食い違う主張を展開。「(贈賄側の)2人は中国企業から利益を吸い上げることを画策していた」として贈賄側の供述の信用性を争う。一方、ある検察幹部は「贈賄側被告が嘘をついて罪を認める必要はない」と切り捨てる。
昨年8月の証人買収事件の逮捕以降、東京拘置所での勾留が続く秋元被告。ある関係者は「どのような人物に対しても膝を突き合わせる兄貴肌」と評し、「議員になる前の秘書時代から金策にたけていたが、集まる資金量の多さから自分は特別な存在だと勘違いをしていたのではないか」と話す。別の関係者は「秋元被告は体調も良いようで、次の衆院選に拘置所の中から出馬する意向もあるようだ」と明かす。
今後の審理は、4月中旬まで証人尋問の期日が指定されている。判決期日は未定だが数カ月程度かかる可能性がある。