台風15号の影響による大規模停電が長期化している千葉県では電気が回復し、水道管に送水が可能になった後も、水道水にさびが混じり、飲み水として利用できない事態が相次いでいる。21日も朝から水道管の洗浄作業が進められている。
台風15号に伴う停電で送水ポンプなどが止まり、県内では最大8万9035戸で断水が発生した。県によると、21日午前9時現在で君津市や
鋸南
( きょなん ) 町の計2023戸で断水が続いている。
君津市の女性(85)の自宅では18日夜に電気が復旧し、水も出始めた。だが、今も約3キロ離れた給水所に通って水を確保する日々。蛇口をひねれば水は出るが、水道管の赤いさびが混じり、飲めないためだ。車がない女性は給水所まで近所の人に乗せてもらっており、「いつになったら普通の生活を送れるのか」とため息をついた。
君津市などに配水している「かずさ水道広域連合企業団」によると、送水を再開する際、水の勢いで水道管内に付着したさびが押し流され、赤茶色に濁った水が出ることがある。この場合は、飲料水として使えないため、蛇口から水が出ても「断水」としてカウントしているという。
同企業団は洗浄作業を急ピッチで進めており、同市では19日、作業員が水道管につながる道路の消火栓を開け、管内に高圧の水を送り込むと、濁った水が消火栓から勢いよく噴き出した。従来の水質に戻すには数日かかる場合があり、断水が続く県南部では同様の作業が続いている。
県水政課は「健康被害が出る恐れは低いが、各水道事業体が『復旧した』と発表するまで、飲み水には使わないでほしい。復旧後も水が透明になるまで流し続けた後、利用してほしい」と呼びかけている。