米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、沖縄の県紙に1月、大見出しが躍った。陸上自衛隊と米海兵隊が、移設先の米軍キャンプ・シュワブに陸自の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させることで2015年、極秘合意していた-という報道だ。県紙「沖縄タイムス」と共同通信の合同取材で明らかになったという。
県紙は、「沖縄が戦場となることを前提にした軍事要塞化に反対する」(沖縄タイムス)、「水陸機動団の常駐は明らかに基地機能の強化であり、基地の永久固定化につながる」(琉球新報)と猛反発した。玉城デニー知事も「県民感情からしても認められない」と拒否を表明した。
まさに基地反対派の大合唱だが、率直に「何か変だ」と感じる。
そもそも、日米による基地の共同使用がそんなに悪いことなのか、という疑問だ。
辺野古住民で、地元の商工社交業組合会長などを務めた飯田昭弘さんは「言葉が通じない米軍よりは、自衛隊が来る方がいい。国が『中国の脅威があって移設が必要だ』ということを、辺野古に来てきちんと説明してほしい」と話す。移設容認派の市議も「自衛隊が来るなら歓迎する」と言い切る。
悲惨な沖縄戦の経験から、県民は自衛隊に対して厳しい感情を抱いていると言われ続けてきた。だが、沖縄復帰から約半世紀を経て、若い世代を中心に、自衛隊を支持する雰囲気が拡大している。
一県民としての私の肌感覚から言うと、外国の軍隊である米軍の駐留に対しては、心のどこかで納得できない気持ちが残り続ける。だが、自衛隊の駐留であれば、多くの県民は受け入れる用意がある。米軍と違い、自衛隊なら日本の法律でコントロールされるからだ。
尖閣諸島を狙う中国が沖縄に触手を伸ばす今、沖縄に一定の軍事力はどうしても必要だ。一方で県民は、米軍基地の過重負担に苦しんでいる。このジレンマを解決するには、沖縄で米軍に代わり、自衛隊の存在感をもっと高めることが必要だ。
米軍基地の日米共同利用に対し、基地反対派は「県民の負担増につながる」と主張するが、実は一般県民からすれば、これこそ最も現実的な負担軽減策である。県紙や玉城知事の言い分は、辺野古移設に反対する理由を1つでも多く増やすための「こじつけ」に過ぎない。
本土でも、三沢基地(青森県三沢市)や、岩国基地(山口県岩国市)などは、米軍と自衛隊が共同使用している。
陸自常駐報道を、菅義偉首相はすぐさま否定し、将来的な常駐の可能性も「ない」と断言した。報道の狙いが「常駐の阻止」であったなら、その目的は達成されたと言えるのかもしれない。沖縄の将来にとって残念なことである。
■仲新城誠(なかしんじょう・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。現在、同社編集主幹。同県のメディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に『「軍神」を忘れた沖縄』(閣文社)、『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』(産経新聞出版)、『偏向の沖縄で「第三の新聞」を発行する』(同)など。