菅義偉首相が16日(日本時間17日未明)、米ワシントンのホワイトハウスでバイデン米大統領と日米首脳会談を行った。バイデン氏が外国の首脳と対面して会談したのは、今年1月の大統領就任後初めて。会談後の会見で菅氏は、夏の東京五輪・パラリンピック開催に向けた協力を確認したと明らかにしたが、新型コロナウイルスが感染拡大する中での開催に疑問を投げかけた米メディアの質問を“スルー”した。
バイデン氏への「一番乗り」を果たし、東京五輪に関しても共同声明で「安全・安心なオリンピック・パラリンピックを開催するための菅総理の努力を支持する」との言葉を引き出した菅氏が、米メディアの問いかけに無視を決めこんだ。
ロイターの記者がバイデン氏にイラン問題について聞くのに合わせ、菅氏に対しては「公衆衛生の専門家は、日本が五輪を開催する準備ができていないと指摘している中、開催するのは無責任ではないか?」と質問した。バイデン氏は、自らが回答した後に「あなたの番ですよ」とばかりに横にいる菅氏を見やったが、菅氏は無反応。出てきた言葉は、日本メディアへ質問を促すものだった。
国内では新型コロナの新たな感染拡大が始まり、国民も五輪開催に否定的な意見が多数。バイデン氏の支援は取り付けたものの、困難な状況が続く。それを意識したのか、これまでは「コロナに打ち勝った証し」と位置づけてきた五輪を、この日は「世界の団結の象徴」と表現。同行記者団には「特別(表現を)変えた理由はない。五輪前のいくつかある目標の一つとして理解してほしい」と説明した。
会見では、バイデン氏との親密さも演出した。1月の電話会談で「お互いをファーストネームで呼び合おう」と合意したのを受け、バイデン氏は菅氏を「ヨシ」「ヨッシー」と呼び、菅氏も終始緊張した面持ちながら「ジョー」と応じた。
会談、会見は新型コロナの影響が表れたものとなった。バイデン氏は、就任後初の対面首脳会談に二重マスク姿で参加。会見が行われたホワイトハウスの大統領執務室前にあるローズガーデンは記者の数が大幅に絞り込まれ、席は間隔を空けて配置された。
菅氏はバイデン氏との会談を振り返り、昼食に用意されたハンバーガーに「手をつけずに終わってしまった。そのぐらい会話に熱中した」とのエピソードを明かすなど、首脳間の信頼関係作りに自信をのぞかせた。会談前にワシントン近郊のアーリントン墓地を訪れた際には、日の丸と星条旗をあしらったマスクを着けた。連携アピールに余念がなかった菅氏だが、帰国後は五輪開催へ向け、コロナに打ち勝つ戦いが再び始まる。